誠心堂薬局船橋店関根です
今回は、多くの漢方相談の中の一つの疾患である副鼻腔炎についてお伝えしたいと思います。
副鼻腔炎は、副鼻腔という空洞に炎症が起こる疾患のことです。
鼻水や鼻づまり、後鼻漏(鼻汁が喉の奥に流れて口の中に回ってくる症状)、頭痛、顔面の痛み、嗅覚障害が発症します。
副鼻腔は、4つの空洞に分かれています。
・上顎洞(頬の裏側にある)
・蝶形骨洞(篩骨洞の奥にある)
・篩骨洞(両目の間にある)
・前頭洞(鼻の上の額の裏にある)
があり左右対称に広がっています。
これらの副鼻腔は粘膜で覆われ、通常は空気で満たされています。
これらの副鼻腔にウイルスや細菌が感染して炎症が起こると、急性副鼻腔炎になります。
副鼻腔の粘膜の炎症が治りきらずに長引くと、慢性の副鼻腔炎になります。
炎症が長引くことにより、軟膜が腫れて鼻腔がつまると炎症は悪化し、鼻の奥で不快な臭いや、鼻茸(はなたけ)ができます。
西洋医学的治療法は、抗生物質の使用が中心です。
他は手術によって膿を排出や洗浄を行います。
漢方で考えると、
急性副鼻腔炎は、外邪の一種である風熱邪が肺に侵入
慢性副鼻腔炎は、飲食の乱れや精神的なストレスなどにより生じた体の熱
が原因です。
副鼻腔炎の治療は、
・炎症を鎮める漢方薬=黄連解毒湯、辛夷清肺湯など
・鼻の通りを改善する漢方薬=葛根湯加川芎辛夷など
・病巣の治癒力を高める薬=帰耆建中湯など
を使い分けます。
それぞれの体質があるため、全員に同じ漢方とはいかず、ほんの一例ですが、以下の漢方を検討することがございます。
○急性期の場合(強い炎症)
清熱をしっかり行うことが大切
辛夷清肺湯ー排膿散及湯
○後鼻漏など炎症が長引いている場合
葛根湯+桔梗、石膏、蒼朮など
○痰を排出する力が弱いような場合は、帰耆建中湯を検討します。
以上です。