春告鳥 ウグイスとメジロの混同 描かれているのは 梅にメジロ
両種とも春を告げる鳥として親しまれており、時期的·場所的に重なる両種は古くから混同されがちであった。
古来絵画にある「梅にウグイス」の主題を見て、間違えて「梅にメジロ」を描いてしまっている日本画家は数知れないが、ちなみにウグイスは蜜を吸うことが無い。
「梅にウグイス」というのは、両者とも春を告げるイメージである。梅に何の鳥が来るかと言う内容ではない。二つのものが調和したり似合ったりするたとえである。「梅」は春を待つ人々に咲きかけ、「ウグイス」は春告鳥と言われるほど春の訪れを歌い、共に親しまれた。絵にある鳥は、メジロである。
【メジロ(目白、Zosterops japonicus)】は、スズメ目メジロ科。緑がかった背と暗褐色の羽を持ち、雌雄同色。目の周りの白い輪が特徴であり、名前の由来ともなっている(英名“White-eye"、中国名「繍眼鳥」)。日本、中国、朝鮮半島、台湾、海南島からベトナム、タイ、フィリピンにかけて分布する留鳥または漂鳥。梅の花蜜に目がなく、早春には梅の花を求めて集まってくる。また比較的警戒心が緩く、姿を観察しやすい。メジロはその時の状況で色々な泣き分け、普通はチューチューで、驚いた時はキュルルー、喧嘩の時はパチパチと嘴を鳴らす。
メジロのウグイス色と、日本国有鉄道(国鉄)が定めた色名称 黄緑6号 山手線車両
山手線の黄緑色、愛称「ウグイス」は、正しくはウグイスの色ではない。ウグイスという鳥には、このような明るい黄緑色の体色はない。むしろメジロの色である。ただし、これは当時の国鉄が悪かったわけではない。黄緑色を「ウグイス色」と呼ぶ習慣は、現代人の連想する抹茶色に近い柔らかな黄緑色であり、「うぐいす餅」「うぐいす豆」「うぐいす餡」など、私たちの生活に根強いからだ。
ウグイス色とは、灰色がかった緑褐色を言い、ウグイスの羽に忠実に取材した本来の色である。英語のオリーヴグリーン(olive-green未成熟のオリーブの果実の色)。(旧国鉄の黄緑6号など)。
ウグイス粉とは、青大豆を臼で挽いて粉にしたもので、ウグイスのようなうす緑色の粉。うぐいす餅とは、豊臣秀吉の弟の秀長が大和郡山城主時代、菊屋治兵衛に作らせて献上した、餡を餅で包み、きな粉をまぶした餅菓子を秀吉がたいそう気に入り、「うぐいす餅」と命名した。当時からメジロと混乱してたのか。本来なら「メジロ粉」「メジロ餅」だろうに。
因みに、東京の目白は、徳川三代将軍 家光が、大僧正の天海和尚の提言に従い、江戸府内に設けた五色不動のうちの一つであります。
神田 博史先生
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略歴
厚生省国立衛生試験所 生薬部
元 広島大学 薬学部 准教授・薬用植物園園長
元 安田女子大学 薬学部 教授・薬用植物園園長
元 広島国際大学 薬学部 教授・薬用植物園園長
元 広島国際大学 医療栄養学部 教授
内閣府地域活性化伝道師