今までの文章の中に出て来た「香」には、その形態等で多くの種類があります。
【香の流れ】【香木の種類】での表も参考にして頂くとわかりやすいと思います。
ここでは、香の種類について見ていきます。
練香
香木などの天然材料を粉末にして、丸薬状に練り上げたもの。
『薫物』とも言い、茶の席では冬の香りとされ、炉中の熱灰と胴灰のそばに2~3粒置く。
家庭では、香炉や火鉢の熱灰の上に乗せたり、小さなアルミカップ等に入れ、ストーブの上で熱したりする。
香木
南方産の独特の香り高い樹脂や樹木をそのまま利用する。香道に利用する。
その香りの品位によって、伽羅・羅国・真那蛮・真那伽・佐曾羅・寸聞多羅などと銘付けられている。
伽羅が最高位で、古くは沈香として真那伽までだったが、徳川時代に残りの二銘が追加された。
茶席では、練香の使い方に準じるが、主に風炉の時期に使用する。
家庭では、聞香炉や置香炉に、よく乾燥させた灰を8~9分目ほど入れ、よく熾した香炭団を埋め込み、『銀葉』を載せ、その上で香りをたたせる。
抹香
香木を細かく粉砕し、主に焼香の時に使うが、時香盤や火舎にも使う。
古くは、仏像や仏塔への散華にも用いた。
焼香
香木を細かく刻み調合したもの。仏前で直接、炭団や炭火の上に載せて薫じる。
塗香
最も細かい香。『清め香』とも言われる通り、主に密教寺院で本尊に供え、読経や写経の時に、手や体に塗って心身を清めるのに使う。
線香
練香を細い線状に固めたもの。一端に着火して使う。
座禅香
線香の一種。長いものでは、70cm以上あり、座禅堂や法事の時の導師用に使う。
仏事香
線香の一種。長さ10~30センチ位。
『仏・法・僧』の原理に従い、香炉の中に一本づつ、三本立てるのが原則。
香水線香
線香の一種。長さ10センチ以下と短く、花・果物・香辛料・香水などの香りでバラエティ豊かな香り線香。室内香として、接客や家族での楽しみに使用される。
灰受けとして飾り香炉や香皿などを使う。
渦巻線香
線香を渦巻状に巻いたもの。長時間炷くのに便利。玄関先など広く、風の流れる所での使用に適している。
専用の香皿や香立を使うが、よく乾燥させた灰の上に直接載せて使ってもよい。
円錐香
練香を円錐形に固めたもの。強く香りを出すのに便利。
灰が散らず使い易い点、欧米人にも好まれる。
香皿や灰の上に置き先端に着火する。
印香
練香を板状にして、梅花・紅葉など型抜きし、乾燥させたもの。
熱灰の上などで香りを立たせても良い。浅い香りで風炉では夏に使う。
掛香
写真提供:磐田市香りの博物館
香を袋などに入れ、体に掛ける。箪笥の中に置くのを「匂い袋」と呼ぶ。
美しい袋に入れて、住居や入ロ、或は、車に掛けるのも良い。
防虫香
掛香と同様、箪笥や衣装箱の中に置く。樟や白檀は材のままでも同じ効果がある。