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病気と漢方

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咳、痰、気管支炎と漢方

 
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漢方薬で咳、痰、気管支炎を治そう!


咳、痰、気管支炎で下記の症状に該当するような方は、それぞれの処方を参考にしてください。

こんな時は かぜの初期で痰がまだ出ていない状態
処方 麻黄湯(まおうとう:麻黄、杏仁、桂皮、甘草)
解説 麻黄湯は発熱悪寒の症状に発汗を目的に用います。

語句解説

発熱悪寒(はつねつおかん)
発熱して寒気のする症状。
こんな時は 解熱した後に咳が強く残り、咳き込む時にあぶら汗が出て、粘っこく、切れにくい痰がある
処方 麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)
解説 麻黄湯の桂皮の代わりに石膏8gが入っています。

こんな時は 咳がはげしく呼吸が急促している
処方 五虎湯(ごことう)
解説 麻杏甘石湯に、すぐれた鎮咳作用のある桑白皮(そうはくひ:クワの根皮)を配剤

こんな時は 水溶性のうすい痰で、咳がはげしく、細気管支や終末細気管支に炎症があり、漢方的にいう心窩部(しんかぶ:みぞおち)付近に水が溜まっているような感じがして、喘息時にみられようなゼイゼイ音がある
処方 小青竜湯(しょうせいりゅうとう)

こんな時は はげしい咳をして、胸部、とくに肋骨が痛む場合
処方 小陥胸湯(しょうかんきょうとう:黄連1、半夏6、カ楼仁(かろにん)3)
解説 カ楼仁(かろにん)(かろにん)は、ウリ科のカ楼の種子で、痰を去り、咳を鎮め、胸痺(漢方用語:胸部のふさがりや疼痛を主とする病症)、結胸(漢方用語:心下が硬満して痛む病症)、肺の痛みに用いる漢方薬で、この領域では最高の生薬といえます。

語句解説

心下(しんか、しんげとも読む)
みぞおちのこと。
こんな時は かぜの後で、やや慢性化した咳、痰に
処方 参蘇飲(じんそいん:陳皮、枳穀、桔梗、甘草、木香、半夏、紫蘇葉、葛根、前胡、人参、茯苓、生姜、大棗)
解説 感冒の治療薬を飲みすぎて胃腸が荒れて食欲がなく、みぞおちがつかえ、悪心、嘔吐感をおこすような場合によろしいです。

こんな時は 鎮咳剤
処方 清肺湯(せいはいとう:甘草、黄ゴン(おうごん)、茯苓、陳皮、当帰、貝母、桑白皮、天門冬、山梔子、杏仁、麦門冬、五味子、生姜、竹茹)
解説 咳き止めの専門薬ともいえる「貝母(ばいも:アミガサユリの球根)」が配合されており、中国で鎮咳薬としてよく用いられます。その上、鎮咳作用のある天門冬(てんもんどう:クサスギカズラの根の肥大部)と麦門冬(ばくもんどう:ジャノヒゲの根の肥大部)のペアと、桑白皮、杏仁、竹茹(竹の茎の外皮の青肌を去り、次の層を削って帯状にしたもの)が配合され、これで効かなければまた新しいものを加えるというような同効生薬を配合した鎮咳剤です。
貝母(ばいも)
貝母(ばいも)

こんな時は インフルエンザの後、咳や痰が多く、そのために不眠症に陥っている人
処方 竹茹温胆湯(ちくじょうんたんとう:竹茹、柴胡、桔梗、枳実、黄連、人参、陳皮、半夏、茯苓、香附子、甘草、乾姜、麦門冬)
文献 『寿世保元』の傷寒の項に収載されている竹茹温胆湯で、この処方の方が日本では一般的です。

語句解説

寿世保元(じゅせいほげん)
中国、明の時代(1615頃)の医学書。
こんな時は 自律神経失調によるイライラ、更年期障害による咳嗽、虚弱体質の人の咳嗽
処方 滋陰至宝湯(じいんしほうとう:当帰、白朮、芍薬、茯苓、陳皮、知母、貝母、香附子、地骨皮、麦門冬、薄荷葉、柴胡、甘草、生姜)
文献 『万病回春』の婦人・虚労の項に収載されています。

語句解説

咳嗽(がいそう)
せきのこと。粘膜反射の一種といわれている。
万病回春(まんびょうかいしゅん)
中国、明の時代(1587)の医学書。
こんな時は かなり虚している老人や体力のないヒトの慢性咽喉頭炎で喉が痛み、口内炎ができやすく、慢性気管支炎で、咳がはげしく、痰の切れにくい場合
処方 滋陰降火湯(じいんこうかとう:甘草、当帰、白芍薬、生地黄、天門冬、麦門冬、白朮、陳皮、黄柏、知母、大棗、竹瀝[竹茹])
解説 日本でよく用いている滋陰降火湯は、『万病回春』の原文の読み違いをしており、大棗と竹瀝(竹茹)のない処方が使われています。気をつけてください。

こんな時は のどが痛く、わずかな空気中の異物で刺激を受け咳き込む場合
処方 甘草湯(かんぞうとう:甘草8g)
服用方法 半分でうがいするようにし、残りの半分はゆっくり飲むということを繰り返すことをすればよろしいです。

処方 木瓜(もっか:カリンやボケの果実)
服用方法 木瓜のエキスはお湯で溶いて飲むのもよし、そのまま匙にとって飲んでもよろしいです。味は良く、小児でも抵抗なく飲めます。木瓜(5g)を煎じるときは、それに生か、乾燥した「金柑(きんかん)」を3個入れるとよろしいです。好みでハチミツを入れると飲みやすいです。
カリン
カリン

こんな時は 強烈な咳
処方 貝母の粉末1gに蛇胆(へびの胆のう:マムシかコブラの胆のうが最高)10mg
服用方法 混ぜてそのまま服用するとよろしいです。インフルエンザの後の激しい咳によく効きます。

こんな時は 「乾性喘嗽」の慢性化したもの
処方 麦門冬湯(ばくもんどうとう:麦門冬10、半夏5、人参3、甘草2、粳米3、大棗3)
服用方法 朝昼かまわず咳き込む方に連用されます。痰が多いときには、去痰薬の「桔梗」を3g追加されるとよろしいです。

こんな時は 呼吸が早く、胸が苦しく、意識がボーとして、悪寒はあるが熱はなく、手足が冷たいといった症状の老人の無力性肺炎
処方 真武湯(しんぶとう)



参考になりましたでしょうか?ここで紹介した処方は、ほんの一部です。また実際に使用される場合は、必ず漢方相談薬局・薬店などでご相談ください。漢方相談薬局・薬店店舗紹介

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