一番多いというか、簡易なのは(世間で使われているのはほとんど)病名から選び出す
方法です。風邪に葛根湯、お腹のガスに大建中湯(だいけんちゅうとう)、こむら返りに
芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)など、次に方証相対といい、症状や接診によって、
漢方薬を決めるやり方です。左下腹部に圧痛があると、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょう
がん)、両胸脇部(肋骨部)に張りや痛みがある場合、小柴胡湯(しょうさいことう)など
があります。
難しいのは生薬(漢方薬を構成する薬)の薬能から、薬を組み立てる方法です。
これは漢方薬の材料の生薬をきちんと知らないと、出来ません。
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59歳の掌蹠膿疱症の女性。
3年前から、左蹠から始まり、右掌と蹠に広がり、水疱と膿疱が混在して、
できては・乾燥・落屑しては表皮の肥厚をまねいている。
皮膚科では、ステロイド剤・ビタミンD3軟膏、紫外線照射治療などを、行なってきた。
皮膚面の状態から、血熱熱毒症と分析し、清熱・解毒作用をもつ金銀花・連翹を含み
清熱・保湿作用のある石膏の入ったものから、皮炎湯を選びだし、掌蹠部の膿疱が
治まると、今度は紅斑と小水疱にたいして、麻黄を含んだ処方のヨクイニン湯を
煎じ薬で使い、さらに改善した。
このヨクイニン湯は成書ではリュウマチ・関節炎の漢方薬として記載されているもので、皮膚病薬として記載されていませんが、中身の生薬から皮膚にも十分効果があることがわかります
皮膚状況に応じて漢方薬を変えることが大事です。
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