口周囲や顎に出る湿疹や吹き出物は、脾胃不和証型で、消化器系の湿邪と関係があります。西洋医学的には胃を中心とした心窩部臓器の熱(炎症)が上に上がり、口内、唇周囲に炎症を引き起こす状態をさします。このような場合は軽症では塗薬で効果をあげますが、慢性のものは内服薬を使わなければ治りません。
42歳の女性の教員。
10ヶ月前に、外食が重なってから、右唇下に湿疹ができて、はじめは市販薬、後に皮膚科受診のうえ、ステロイドの軟膏を使い続けてきたが、徐々に湿疹の範囲が広がってきた。

患部は大きいものは1cm程度で赤く腫れている。ほかに数ミリの皮疹が3ヶ所ある。痒みはあまりない。顔のほかの部位に皮疹は存在しない。
脾胃不和証型の皮疹の基本の薬である半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)を煎じ薬にして服用する。2週間ほどで、湿疹が乾燥して落屑してきた。1ヶ月では瘢痕状態になり、2ヶ月後では、ほとんど正常な皮膚とわからないまでになる。
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