
漢方薬に用いられる人参。よく言われる薬用人参。いずれも、人参と言えば朝鮮人参を指す場合が多いです。けれど一口に薬用人参と言っても、実際はいくつかの種類がそこには含まれます。
前回もお話したように朝鮮人参はウコギ科です。このウコギ科にはいくつかのグループが含まれますが、朝鮮人参はそのうちの一つのトチバニンジン属の一員です。このグループには他にも、竹節人参や田七人参が含まれます。ウコギ科のこのグループは、ジンセノサイドという特別な成分を持っているのが特徴です。
また、同じくウコギ科のシベリア人参も有名です。これらの薬用人参は共通して、根の部分が薬用になります。根にはサポニンと呼ばれる成分が複数含まれます。(ジンセノサイドもサポニンの一種です。)サポニンは、それぞれで効能・効果が異なります。人参によってもその含有量や成分が異なります。(ちなみに、竹節人参はトチバサポニン、田七人参はデンシチサポニンという特別なサポニンを持っています。)
さまざまな人参の薬効の違いは、このサポニン群の違いによるものが大きいとされています。そして薬用人参にはこれら多くの有効成分が一緒に含まれており、これが洋薬など合成薬剤にはみられない多彩な薬効を示し、神秘的とも思われる由縁です。