
薬用人参の一種のシベリア人参は、朝鮮人参と同じくウコギ科の植物です。シベリア人参は『エゾウコギ』という呼ばれ方で広く知られています。蝦夷、つまり今の北海道に自生していたウコギ科の植物だからというのが由来です。北海道以外にも、ロシア南東部のアムール州などにも分布しています。ロシアのオリンピック候補選手が滋養強壮を目的に、このシベリア人参を利用したという経緯もあります。日本でもアイヌ民族が民間薬として用いた過去があります。
シベリア人参は棘五加という生薬名もあります。日本での棘五加の歴史は浅く、日本漢方にはこれを利用した処方は残念ながらありません。(主に中国漢方で用いられる生薬です。)
シベリア人参はを朝鮮人参と比較すると、ストレスに対する抵抗力の増強が特に注目されています。難しい言葉ではアダプトゲン(環境適応源)作用。悪影響を与えるもの(酸素の欠乏、厳しく激しい寒冷、ストレス、疲労など)に対して、体の適応能力を高め、生体を保護しようとする作用のことです。 朝鮮人参と同じくウコギ科の植物なのですが、その中でも属するグループが異なるため、薬用の根部に含まれるサポニンの種類も大きく異なることが知られています。最近ではシベリア人参を手軽に摂る方法として、ハーブのように煎茶で服用するケースもあります。