
人間の体の6割は水でできていますので、熱中症にしても脳梗塞にしても、予防には水分は欠かせないものです。めまい(眩暈)を引き起こすメニエール病も水と深い関わりがあります。特に、体のバランスを保っている耳の三半規管に浮腫が起こると、バランス感覚が乱れてめまいが生じやすくなり、近年ではめまいの最大の原因の一つとして水分代謝の異常・貯留が挙げられています。水分代謝異常の原因は人それぞれですが、東洋医学では水と脾胃・腎臓は深く関わりがあり、これらの臓器の働きを改善することで水分代謝を調節する、というのが主だった手法です。
水分代謝に関わる漢方薬の代表的なものには五苓散や苓桂朮甘湯などがあります。五苓散は利水の代表的な処方で、腎や膀胱の働きが改善する働きを持っています。対して苓桂朮甘湯は脾胃の虚弱によって停滞した水分を温化により利水します。また、水分代謝異常によるめまいが長期に渡って引き起こされる方は、これらの漢方に加えて各臓器の代謝低下(脾虚・腎虚)を改善するものを合わせて服用することで、より効果的に体質を改善することが可能となります。