
私がまだ小さい頃、それは幼稚園や小学校に通う頃ですが、今のような秋空の季節にはみんなでシャツ一枚になり、グラウンドで乾布摩擦を行いました。最近の小さい子はどうなんでしょうか・・・、まだ続いているんでしょうか。乾布摩擦は肌を鍛える方法の一つとして有名ですが、漢方の考えから見ると衛気を養うことと同義であるといえます。
衛気は人間の体を巡る気の一種で、体表を包むような形で存在しており、種々の外邪が体内に侵入しないよう防いでいます。これは現代語で言うところの、風邪やインフルエンザなどの疾患に対する免疫力と同義ですね。これ以外にも衛気は、暑い季節の発汗調節などにも深く関わっているとされており、必要以上に汗をかいてしまう症状、いわゆる多汗や寝汗は、肌の衛気不足によると考えられています。
漢方の考えではこの衛気、五臓の一つの肺が司るとされています。肺による動作といえば呼吸ですが、この吸うと吐くの一連の動作によって全身に衛気が巡ります。ですから呼吸が浅いと、この気の巡りが悪くなってしまいますが・・・、浅い呼吸は皆さんも知らない内に陥っています。例えば何かに集中している時や没頭している時、何かを考え込んでいる時や悩んでいる時など。「ため息ばかりついていると幸せが逃げていく」としばしば言いますが、ため息をしている中での呼吸は吸気が疎かになり、これも衛気の巡りには良くありません。ちなみに病は気からといいますが、この場合の気は衛気に当たると思いますよ。
肺は衛気に深く関わりがある上に、鼻や喉など風邪の初期症状が現れる箇所も含まれます。マスクをして咽喉からウイルスの侵入を予防するのと同様に、肌もマスクをして外邪に備えましょう。では肌のマスクとは何ぞや・・・と、その実は衛気養生なのですが、その方法は明日にご紹介します。