
『人が昔から食べていたもの、あるいは栽培していた植物に実は美容効果があった』という話はよく耳にします。特に島国であった日本はその文化も独自のものであったために世界から注目される習慣も多いですね。今日、寿司などを通して生魚を摂る習慣が注目を浴びているのもその一つです。
日本人の生活に馴染みが深い米ぬか。昔から漬物のぬか床として使われ、庶民の生活の知恵として肥料、洗剤、美容にも利用されてきました。
米ぬかは今では『天然の界面活性剤』と称されることもあり、日常的に米ぬかを触れている人の手はいつも綺麗でした。この点に注目し、最近の化粧品でも美白や保湿を目的として米ぬか成分が配合されているものが多くあります。
米ぬかはまず、肥料として利用されるほどに栄養価が高いです。とくにビタミンB類およびビタミンEが豊富で、日々米ぬかに触れることで肌が必要な栄養分と共にビタミン類が供給され、肌の新陳代謝を促進するとともに、肌荒れを予防するなどの効果を生みます。
また米ぬかは『ぬか油』というものがあるように、油を含んだものです。この油には植物性のセラミドとも呼ばれる成分(コメヌカスフィンゴ糖脂質)が含まれ、肌のバリア機能を保ち、肌の保湿を助けます。また米ぬかには抗酸化力を発揮する成分も含まれており、シミの原因になるメラニンの合成を予防する働きもあります。高齢にも関わらず、米ぬかに日々触れている方の手が美しくしっとりとしているのは、この効果ですね。
また米ぬかが優れている最大の理由は、上で述べた働きを持った成分が、肌に馴染みやすい形で存在している点にあります。今の化粧品に含まれる美容成分は、もともとは肌に浸透しにくい(表皮のバリアの隙間よりも美容成分が大きいので、肌の深部に浸透していきません)。ものが多く、分子量を小さくするなどの工夫が必要です。ですが米ぬかに含まれる美容成分やミネラルは、先に述べた脂質成分・セラミドと混じり合った形で存在しています。そのおかげで肌のバリア機能にも邪魔されず、肌の奥へ到達しやすくなっています。