
日本人の寿命が延びるに伴い、いわゆる成人病は年々増加傾向にあり、その中でも特に脳卒中の原因となる高血圧症が非常に多く認められるようになりました。日本人の高血圧症のほとんどは本態性高血圧と呼ばれるものであり、その原因は今なおよくわかっていないのが現状です。一方で血圧が高くなる現象には食塩の摂取が大きく関与しています。
古来から日本人の主食であった米飯には、薄辛いおかず(副食)がよく合いますから、ついつい過剰に食塩を摂取してしまう習慣があります。また最近の飽食傾向も追風となり、日本人は欧米人に比べ食生活面で高血圧症が発生しやすい状況にあると言えます。
血圧の高い方は肩や首、うなじなどが特に凝りやすく、それと供に頭痛、めまい、耳鳴り、のぼせなどの症状を訴える場合が多いです。東洋医学ではこれらの症状は五臓の肝の機能異常や水毒の停滞、代謝異常(湿証)が起因していると考えられます。実際には、頭痛や肩こりに伴う高血圧症には釣藤散や葛根湯など、肥満体で高脂血症を伴う方には防風通聖散、大柴胡湯など、また特にのぼせが強い方は黄連解毒湯などという具合に、症状や体の状態に合わせて漢方を使い分けます。