
漢方でいう「表裏」とは病気の存在する場所を表す言葉です。「ひょうり」と読みます。「表」は身体の表層部、つまり皮膚部を指し、「裏」は身体の奥深い内部、つまり中空の消化器系を指します。表と裏の間を「半表半裏」と呼び、胸郭や肝臓など、横隔膜周辺を指します。そしてそれぞれの部位に病があることをそれぞれ、表証、裏証、半表半裏証といいます。
例えばカゼの時、初期は表証として症状が表れ寒気や発熱、肩こり、関節のこわばりなどが生じます。そして病気が進行すると、裏証として気管に咳や痰などの症状、食欲不振や嘔吐、下痢や腹痛などが生じます。さらにこじらせると、腎臓や心臓、肝臓などに症状が現れます。特に表証は、外から邪が侵入することによって起こる病の初期段階に良く見られ、発病が急で変化が早く、病気の期間が短いのが特徴です。
治療法としては、発汗療法で体表面から病邪を外に追い払うか、下剤を用いて病邪を外に出すか。また、半表半裏の場合は、葛根湯などで発汗させてすっきりした後は横隔膜付近がつかえた感じになります。そのようなときに、例えば柴胡桂枝湯などの柴胡の入った処方でつかえを取る必要があります。