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病気と漢方

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不眠症と漢方

 
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漢方薬で不眠症を治そう!


不眠症の症状に該当するような方は、それぞれの処方を参考にしてください。

こんな時は イライラが強くなり、とくに喉もとに異物感がある場合
処方 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう:半夏、厚朴、茯苓、生姜、紫蘇葉)

こんな時は 上腹部が膨らんだ感じがあり、横隔膜が持ち上がり心臓が圧迫され、そのために心悸亢進が起こったり、頭がフラフラするが、心電図に異常がないといった時
処方 半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう:半夏、黄連、黄ゴン(おうごん)、人参、乾姜、甘草、大棗)

こんな時は とくにイライラ感もないが腹部が張り、ガスが溜まりやすく、消化不良のため食欲がないといった症状がある場合
処方 大建中湯(だいけんちゅうとう:蜀椒、乾姜、人参、膠飴)

こんな時は イライラして、どうしても安定剤が欲しくなるような場合
処方 柴胡加龍骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう:柴胡、龍骨、黄ゴン(おうごん)、生姜、人参、桂皮、茯苓、半夏、大黄、牡蠣、大棗)

こんな時は 虚労、虚煩で、眠ることができない場合
処方 酸棗仁湯(さんそうにんとう:酸棗仁15、甘草2、知母3、茯苓6、川きゅう(せんきゅう)2)
文献 『金匱要略』の血痺虚労(けっぴきょろう)の項に収載

こんな時は 治多睡及不睡(多く眠る、および眠らざるを治す)
処方 酸棗仁湯(さんそうにんとう:酸棗仁15、人参4、茯苓10)
解説 眠れない場合は、煎じた後に冷やしたものを服用し、酸棗仁は少し炒って粉末にしたものを用いるように指示されています。
文献 『万病回春』の不寐(ふび)の項に収載

MEMO

『金匱要略』の酸棗仁湯は虚証の方に用い、『万病回春』の酸棗仁湯は少し実証の方に用いるとよいでしょう。医薬品として認可されているのは『金匱要略』の酸棗仁湯です。


こんな時は 元気のある人で、顔が赤く、のぼせ気味で、いらいらして眠れない人
処方 黄連阿膠湯(おうれんあきょうとう:黄連4、黄ゴン(おうごん)2、芍薬2を先に煎じて、煎液に阿膠3を溶かし、鶏子黄(タマゴの黄味)を入れてかき混ぜたもの)
解説 黄連阿膠湯のみでは早急に不眠症が改善されないので、酸棗仁を20~30g加味した方がよろしいです。中国の最近の文献によるとさらに鎮静効果のある「遠志(オンジ)5g」と「五味子3g」を追加するとよいと臨床報告しています。

こんな時は いらいら
処方 加味温胆湯(かみうんたんとう:半夏、竹茹、枳実、陳皮、茯苓、甘草、酸棗仁、遠志、五味子、人参、熟地黄、生姜、大棗)

こんな時は 不眠症
処方 清心温胆湯(せいしんうんたんとう:陳皮、半夏、茯苓、甘草、枳実、竹茹、麦門冬、白朮、川きゅう(せんきゅう)、石菖蒲、遠志、人参、黄連、香附子、当帰、芍薬)

薬枕療法(やくちんりょうほう)

 中国では、煎じて内服するものばかりでなく、鼻の粘膜を刺激して生薬成分を吸収させるようにしたものも発明されています。まさに日本でも流行しているアロマセラピー(芳香療法)と同じです。心身ともにリラックスさせ、疲労を回復させて健康を増進させようという療法です。

 中国では、薬草を「お香」として焚き、煙を吸って精神をリラックスさせる方法もありますし、香りの良い薬草の微粉末を枕の袋に入れて呼吸するごとに鼻から薬草の成分を吸収させ、睡眠中に病気を予防したり、治そうとした方法もあるのです。


不眠枕

 漢方医学書『肘後備急方(ちゅうごびきゅうほう)』の三十二巻の中に不眠症の治療法として枕が考案されています。

処方 酸棗仁、当帰、益智、紫蘇葉、丹参、桑葉、何首烏、遠志、菊花、辛夷、薄荷、宇金、山梔子、広カク香、石菖蒲根、地骨皮など
解説 病状に合わせて調合すればよろしいです。ストレスからくる不眠症では、酸棗仁、当帰、川きゅう(せんきゅう)、丹参、益智、石菖蒲根、何首烏の粉末を各5g布袋に入れ、枕元に置いておけばよろしいです。

参考になりましたでしょうか?ここで紹介した処方は、ほんの一部です。また実際に使用される場合は、必ず漢方相談薬局・薬店などでご相談ください。漢方相談薬局・薬店店舗紹介

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