■薬草料理
薬草料理とは?
- 薬草料理
食事は元来空腹感を満たし、健康を維持するためのものですが、中でも食材を民間薬として利用できる生の葉や果実などに差し替えることで、食事に民間薬的な効能を加味したものを「薬草料理」と言います。
地域や食習慣の違いにより材料や料理法に色々の工夫がなされ、薬草料理は薬食健康法として利用されています。
薬膳との違い
薬草料理は中国で言うところの「薬膳」とは異なります。
薬膳は特定の人の病状に合わせて入れる物を決定し与えるのに対し、薬草料理は多くの人に対して広く与え、良い結果を得ようとする考え方です。
そのため、食材にはその季節に得られる物が多く使われる傾向があります。
かつては、畑で栽培していた野菜も野にある野草と同等の効果が得られていましたが、現在では野菜の効力が変化し、その代わりを民間薬に求めなければならなくなってきたことから薬食健康法なる概念が重要視されるようになりました。
■薬酒(薬用酒)
薬酒とは?
生薬の成分をお酒に移行させ、それを内服(飲用)ないし外用することでその生薬の効果を得ようとするものを「薬酒」といいます。
薬酒には、「醸造して、すなわち発酵させてお酒を造ると共に成分を移行させるもの」と、「各種アルコールに生薬を浸漬することで、その成分をアルコール中に溶出させるもの」とがあります。
薬酒の作り方
簡単な方法は、ホワイトリカー(焼酎)に生薬を浸漬して作ります。
また、少し手間はかかりますが、糖の多い果実等の場合はその果汁に、糖の少ない花弁や植物体などの場合は糖分を加え、発酵菌を添加(すでに素材が持っていれば入れなくても良い)して発酵させて作ります。
この方法ではそれぞれ特有の味が出て、より深い変化が楽しめます。
薬酒は、アルコールの浸透作用と、血流の改善作用が加わりますので、その薬物を煎じて飲んだり、食べたりする場合より早い効果や強い効果を得ることができる場合も多々あります。
■薬茶・健康茶
お茶は元来健康を目的に飲まれ始めたものです。
のどが渇くだけなら水やお湯を飲めばよいのですが、それらに薬効のある生薬を入れることで、のどの渇きをいやすだけでなく、他の効果も期待して飲用できるものです。
お茶にする場合の多くは乾燥物を乾煎りして、細胞膜の一部を壊して成分を出易くすると共に、味を良くするようにします。あるいは、採集した生の植物を熱湯に通して酵素を壊し、含有するビタミンC等の損失を防ぎ、味を良くし、成分が溶出しやすくします。
薬茶にされる物は、刺激が少なく味の良い物を利用することが多いのですが、中には効果を優先して、強烈な味の物もあります。
薬茶の代表はチャ葉を使った緑茶、紅茶、烏龍茶などで、カフェインの興奮作用などを目的に飲用されています。しかし、最近ではお茶の中に含まれるカテキンその他のポリフェノールなどの新しい効能が次々と発見され、健康増進への利用が進んでいます。