たしかに発汗し過ぎるとカゼを引きやすいものです。もし、秋に発汗したときは、すぐにでもふき取りたいものです。
今まで咲いていた花も実を結び、翌年のために生命力を種の中に収める時期です。人間の身体にも同じ働きがあり、「気」の流れの勢いも外向きから内向きに変化しています。この時期は身体の防御力が手薄になりがちです。秋に風邪を引きやすいのはこのためです。この季節は、薄着をして身体の熱を逃がしすぎるのは避けるべきでしょう。
また、乾燥する時期でもあります。これは、体表から「陽気」だけでなく「水分」も逃げていくためです。春や夏に比べると「身体」や「心」もおとなしく過ごすことが、自然と調和する方法だと言えます。春に目が覚め、夏にかけて外へ発散していた気のエネルギーは、秋を迎え身体の中へ向かおうとしています。身体は皮毛を閉じる前にもう一度、窓を開け放って残った「陽気」を出しきり、「涼しく清潔な気」を体内に入れて、「気」の入れ替えをすることが必要です。
肺は呼吸をつかさどり、取り入れた気「天の気」と食物から得られた「地の気」と合わせ、人体の『エネルギー』に変化させ、全身に送り出しています。
解説:惠木 弘(恵心堂漢方研究所所長)