• お問い合せ
  • サイトマップ
  • 個人情報保護
  • 交通アクセス
  • 漢方薬 漢方薬局 薬店のことなら きぐすり.com
  • ホームへ
  • 店舗紹介
  • 相談方法

治療例集№30 蕁麻疹 鹿児島・漢方専門・厚仁堂薬局
36歳、女性。身長151㎝、体重40㎏、子供一人。
<主訴>
蕁麻疹。二か月ほど前から、疲れと睡眠不足が原因かも。部位は上下肢それぞれの内側、お尻、背中。はじめ線状、のち結合して風団となる。消失までは1~2時間ほど。時間は夕方4時ごろから出やすい。強いかゆみを伴う。疲れると悪化傾向。これとは関係ないかもしれないが、蕁麻疹発症の一月ほど前から咳(痙咳、無痰、声がれ、熱感・発汗を伴う)が現在も続いている。
<全身症状>
寒熱:寒がり、冷え性。
二便:大便3日1行。
小便1日4~5行、夜間0行。色量ともに平
飲食:平
全身:疲れやすい
浮腫:なし
睡眠:良好
心神:良好
汗:腋下に出やすい。黄汗傾向
頭:疲れると偏頭痛(バファリンでコントロールしている)
経行:28周期)、経期(7日間)、経痛(頭痛)、経血(量色ともに平)、血塊(30mm×5~6個)
面・舌:面色萎黄、舌質微淡、舌苔微白
体型:やせ形
皮膚:平
嗜好:飲酒(−)、煙草(−)。
血圧:100~60
貧血:なし
<経過・結果>
1診:蕁麻疹は消風散を基本に用いる。蕁麻疹の発症に先立ち咳が出ている。咳の状態及び平素の黄汗傾向からから肺熱による咳と思われる。蕁麻疹とこの咳は因果関係をもって成立していると考えるべきであろう。つまり肺熱が皮膚に伝わり蕁麻疹を形成したと。このタイプの肺熱には麻杏甘石湯を用いる。
処方1)消風散+麻杏甘石湯 分2  7日分
2診:良好。蕁麻疹ほとんど出ない。咳もぴたりと止まった。7日分全部服用して様子を見たが、その後再発。もう少し飲み込む必要があると思い来局。
処方1) do.  14日分  
3診:初めの7日分は全量服用、後半の7日分は1日1包とし様子を見る。
4診:1日1包でも良好を維持できた。次回からは2~3日1包の服用とし、それで症状の後戻りがなければ廃薬とする。(・・・以後来局がないのでうまく廃薬できた…?)
<考察>
咳と蕁麻疹。一見関係ないようでも漢方的にはつながっている。咳以外にも月経痛、ストレス、寒冷、胃腸障害など水面下で皮膚病と強く影響しあっていることが多い。結局のところ、皮膚病治療は皮膚のみをいじるのではなく、その人全身の調和を図りそこに治療の糸口を見出すことがポイントといえるのではないか。

治療例集№29 夜中にハッと目が覚め不安に襲われる  鹿児島・漢方専門・厚仁堂薬局)
33歳、女性。身長160㎝、体重55㎏、子供一人(4才)。
<主訴>
緊張過多。理由もないのにいつもみぞおちに力が入り緊張している感じ。みぞおちの力みがのどのつかえに代わることもしばしばある。睡眠中、動悸で目覚め、その後不安感で眠れず。また、仕事中は緊張のため項・胸・脇・手掌に汗をかく。月経の前後で悪化傾向。楽しいことをしている間は何も感じない。2年前引っ越しして不眠となり、これがきっかけで上記症状を発症。病院にてマイスリー、パキシル、リーゼを服用していたが効果がないので現在は中止している。
<現病・病歴>
花粉症あり。
過敏性大腸症候群・アトピー・小児喘息・盲腸手術等の履歴あり。
<全身症状>
寒熱:手足は冷え性。
二便:大便2~3日1行。下利したり便秘したり一定しない。
小便1日5~6行、夜間0行、色・量ともに平。
飲食:食欲(平)、飲水(平)
全身:疲れやすい。風邪をひきやすい(咽痛・黄粘痰)、車暈(+)
浮腫:下肢にすこしあり。
睡眠:不眠傾向
心神:不整脈あり、驚きやすい。
汗:項・胸・脇・手掌の汗
頭:経前に頭痛あり(→ロキソニン服用)
腰・肢:肩こりあり。肩こりが強いと頭痛しやすい。
経行:周期(24~26日)、経期(7日間)、経痛(下腹部・軽微)、経血(暗赤色、量平)、血塊(−)
面・舌:舌質平、舌苔微白
体型:中肉でぽっちゃりした感じ
皮膚:細絡(ふくらはぎに少し)
嗜好:飲酒(CD)、煙草(−)。
血圧:101~70、脈拍(71)、貧血(−)
脈拍:
<経過・結果>
1診:みぞおちの力みとのどのつかえ・発汗異常・不整脈などはすべて気滞と考えられる。このような症状には半夏厚朴湯合四逆散(八味解鬱湯)を好んで用いている。ただし夜間の動悸発作、これらが月経前に悪化すること、月経前の頭痛・肩こりなどから血瘀も強く影響しているものと考えられる。そこで、四逆散を血府逐瘀湯に展開し血府逐瘀湯合半夏厚朴湯として用いることにする。
処方1)血府逐瘀湯+半夏厚朴湯 分2 14日分
2診:服用後1週間ほどで来経、血塊(↑)。頭痛・肩こり(↓)、胸・のど(↓)、及びこれらに伴う緊張感(↓)。夜中の心悸も全く出ず、よく眠れるようになった。大便、ほぼ毎日出るようになった。発汗改善なし。
処方1) do.  14日分
3診:良好
処方1) do.  14日分
4診:来経(25日周期)、血塊(↓)経血(↑)、経痛(−)。発汗異常(少し改善)。胸・のどの症状・緊張感・頭痛・肩こり・夜中の心悸・不眠などいずれもほとんど気にならなくなった。こののちも処方1)を継続服用、都合6か月服用ののち廃薬。
<考察>
夜中に動悸のためハッと目が覚めるのはかなり怖いものらしい。これが続くと日中も不安で落ちつかなくなる。今回の症例は気滞と血瘀とが錯綜したものであろう。この様な場合、血府逐瘀湯は非常によく効く。神経性膀胱炎を兼ねる場合は合猪苓湯、加齢に伴う頭痛には合釣藤散、便秘・頭痛を兼ねる場合は合桃核承気湯など応用して用いている。

治療例集№28 風邪の後の鼻炎・咳  鹿児島・漢方専門・厚仁堂薬局
63歳、女性。身長158㎝、体重62㎏、子供二人。
<主訴>
風邪をひき市販の総合感冒薬を服用。風邪の主たる症状は取れたものの、1週間ほどたつが鼻炎と咳が取れない。鼻炎症状は鼻水(黄濁涕)、鼻閉。咳はコンコンという咳声で一度出るとなかなか止まらず、黄粘痰を伴う。鼻炎に伴う顔ののぼせ感あり。悪寒・発熱(−)、自然発汗(−)。
<全身症状>
特記なし
<経過・結果>
1診:このように風邪で総合感冒薬を服用の後、鼻炎の症状だけが残った場合、葛根湯加辛夷川芎がよく効く。鼻の黄濁涕、咳の黄粘痰から排膿散及湯、さらに咳に対応するため半夏厚朴湯を配合する。
処方1)葛根湯加辛夷川芎+排膿散及湯+半夏厚朴湯 分3 3日分
2診:他の要件で来局。処方1)を服用後30分ほどで鼻閉が通り、2~3回鼻をかんだのち鼻炎は消失。咳も翌日から出ていない、3日分服用で完治したとのこと。
<考察>
総合感冒薬は力ずくで風邪症状を抑え込むのであろうか、このような「なおりぞこない」の症状を引きずることもまま見受けられる。おそらく新薬治療は漢方治療の治癒転機とは異なる過程をとるのであろう。そのためかこのような「なおりぞこない」には太陽病の葛根湯がよく効く。鼻閉には辛夷川芎を加え、黄濁涕には桔梗が必要と考え排膿散及湯を併用。咳は痙咳なので、半夏厚朴湯か麻杏甘石湯か迷ったが、「汗出而・・・」がないので半夏厚朴湯を用いることにした。

治療例集№27 産後のなかなか取れない疲れ 鹿児島・漢方専門・厚仁堂薬局)
41歳、女性。身長153㎝、体重51㎏。
<主訴>
産後の疲労倦怠。出産後1年半になるが産後以来の肉体疲労・精神疲労がなかなかとれない。朝起きるのが一番きつい。日中も、特に昼食後は眠くなり毎日昼寝を1~2時間ほどするのが日課。また風邪をひきやすく、のどが痛くなりやすい。養命酒や葉酸を服用しているが効いているかわからない。血圧120~67
<病歴>
特記なし
<全身症状>
寒熱:冷え性。冬はレッグウォーマーを常時使用している。
二便:大便:2~3日/行、ストレスで下利することがある。
   小便:5~6行~/日。
飲食:平
全身:疲労(++)、容易感冒(咽痛)
浮腫:なし
睡眠:良好
心身:親の介護で忙しく精神的にもゆとりがない。
汗:平
胸腹:胃痛・胸やけ時にあり。
腰・肢:肩こり(++)⇒整体に通っている。産後から腰痛発症
経行:周期(28~30日)、経期(7日間)、経痛(下腹部に軽微)
面色:萎黄、唇は赤紫色
舌:舌質淡・胖大・赤紫
皮膚:皮下出血・細絡あり
<経過・結果>
1診:産後の諸症状にはすべて芎帰調血飲第一加減を基本に用いている。この症例の場合、気虚の程度が強いので補中益気湯を併用して用いることにした。
処方1)芎帰調血飲第一加減+補中益気湯
2診:だるさ(↓)、昼間の眠気(↓)。なんとなくやる気が出てきている。表情にも目力を感じる。
処方1) do. 14日分
3診:非常に良い。二人目がほしいとのこと。この処方のままで十分行ける可能性があるので、継続服用を指導。現在も服用中。
処方1) do. 28日分
<考察>
芎帰調血飲第一加減は産後の諸症状の治療・予防に用いる。「産後」とは産後1~2年の短い期間のように考えがちであるが、実はそうでなく産後5~10年、さら極端に言えば出産したら死ぬまで「産後」である。産後の諸症状は婦人病のみならず、精神神経症、アレルギー、リウマチ等の膠原病、など多岐にわたる。この症例のように倦怠感を主症状とする場合には経験則として補中益気湯を合方して用いている、芎帰調血飲第一加減と補中益気湯との相性は頗るよい。まさに鬼に金棒といったところか。「取り立てて原因の見つからない二人目不妊」にも上記合方をしばしば用いて結果を残している。

治療例集№26 OLニキビ 鹿児島・漢方専門・厚仁堂薬局
33歳、女性、未婚。身長162㎝、体重46㎏。
<主訴>
ニキビ。アゴの線~頬に集中してできる。直径は2~3mm程度の小粒のものと5~10mm程度の大粒のものの二種類ある。小粒は化膿しやすく、大粒は化膿しないが根が深く一度できるとなかなか治らない。色は赤~暗紅色。ひどくなるたびに病院の抗生物質とビタミン剤を服用している。これらを服用後は一時的に沈静化するが、なかなか根治には至らない。月経前、疲労時、多食時に悪化する傾向にある。
<病歴>
特記なし
<全身症状>
寒熱:冷え症。
二便:大便:1日/行
   小便:10行~/日、清長
飲食:平
全身:疲労(−)、容易感冒(−)
浮腫:なし
睡眠:良好
心神:良好
汗:平
頭:偏頭痛あり(拍動性、発症すぐにバファリン服用でコントロール可、)
胸腹:平
腰・四肢:平
目・耳・鼻:目赤、アレルギー性鼻炎あり。
経行:周期(30日)、経期(7日)、経痛(経前、下腹部、バファリン服用)
面:白~萎黄
舌:舌質平・赤紫、舌苔微白
皮膚:皮下出血あり
<経過・結果>
1診:ニキビの形状(暗赤色・大粒)、月経の状態から血瘀が基本にあり、これから派生したニキビと判断。化膿を繰り返すことから排膿薬も併用する。桂枝茯苓丸合排膿散及湯を用いることにする。
処方1)桂枝茯苓丸+排膿散及湯 分2 14日分
2診:ニキビ新生(↓)、化膿(↓)、偏頭痛発作(↓)。概ね良好と判断。
処方1) do. 28日分
3診:ニキビはもちろんのこと偏頭痛もほとんど起きなくなっている。
処方1) do. 28日分
4診:ニキビはほぼ良好。古いニキビの色素沈着も薄くなってきていてうれしい、と。月経痛も起こらなくなってバファリンはほとんど飲むこともない。こののちも処方1)の服用を続け、都合5か月服用ののち廃薬。
<考察>
20歳をすぎた女性のニキビは子宮血瘀由来が多いように思う。この症例では子宮血瘀を治することにより「ニキビ」「偏頭痛」「月経痛」の三つが同時に改善できた。まさに「女を見たら血瘀と思え」である。


Copyright© Ko-jindo Pharmacy. All Rights Reserved.