今日は20年ぶりの大雪だそうで、昼間だというのに人通りもまばらで、まあ暇な訳なのでお付き合い下さい。
「傷寒論」という書物は、風邪などの感染症の初期からこじれてしまった状態までの治療法について、事細かに書いてある、我々漢方家のバイブルと言うべきものです。
ただ、何せ昔の本なので漢方理論の基礎「陰陽」「表裏」「虚実」を含めて非常に難解なのが欠点です。
そこで今回は”風邪をケンカに例えて”考えてみましょう。頭の中に特大スクリーンを広げて、3Dでビジュアル化してみて下さい。
場所は郊外の河原(これが「表」という場所)。”俺たち”の中学校と”外邪”の中学校は昔から因縁のある間柄です。今日も乱闘(感染症)が始まりそうな雲行きです。それでは、始まり始まり・・・!
この河原は俺たちの村と「外邪」の村を分けている。
外邪中学にはは乱暴なのが多いから、しっかり栄養を摂って体力つけてガードを固めておかなくちゃならない。
あ、外邪中学の奴らが攻めてきた!みんなに知らせろ!防衛線を作れ!
仲間がわらわらと集まって来る。さあ、戦いが始まる。
始め(太陽病期)は俺たちも力がみなぎっているので、フルボッコのシバキ合い、見た目は派手なケンカ(実証)になる。
もしも、普段から栄養が摂れなくて体力が無くガードが甘かったら、見た目の派手さは無いものの実はより深刻な状態(虚証)なのだ。
※この時期、実証には葛根湯などを、虚証には桂枝湯などが使われます。
そのうち、俺たちも傷つき疲れ、次第に戦いの場所はもっと山側の林に移る(少陽病期に移行)。始めの頃のような派手さは無く、もみ合い寝技の応戦になる。俺もだんだん疲れてきた。
※この時期、病気は呼吸器、消化器へと広がって行き、小柴胡湯、柴胡桂枝湯などが使われます。
外邪の連中しつこいなあ、なかなか手出しをやめない。争いの場所が大事な田圃(腸などの消化器系)に移ってしまった。俺たちはもうヘトヘトだが、泥んこの中で外邪の奴らを押さえこんでいる(陽明病期)。
※重症化して、熱が出て、汗をかき、便秘している時期。白虎湯などの清熱剤や、調胃承気湯や小承気湯などの瀉下剤を使います。
あれれ?外邪がしぶといなあ、村に攻め込まれてしまった。俺ももうだめかもしんないなあ。身体がしんどくて、うすら寒くて・・・。
※この時期(陰病期)、病状が更に悪化すると食欲が落ちたり下痢したりする。小建中湯で脾胃を補ったり、人参湯や真武湯で温めたり、病が治らず苦しんでいる時の最終的な手段として茯苓四逆湯などを使います。
私は「難しいことは何かに例えて理解しよう」という主義の人でして、どうでしょう、何となくイメージできましたか?
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更新日: 2014/02/08 |