急性腰痛に便秘が併発する事があります。
痛みのためにお腹に力が入らないせいなのか、神経が緊張してそうなるのか分かりませんが、便通を整える処方を使わないと良くなりません。
大黄附子湯、芍甘黄辛附湯などのような下剤(大黄)を含む薬方や、桂枝茯苓丸加大黄や大黄甘草丸などを兼用方として加えます。
今年の大雪の後、母(85才)が便秘を伴う腰痛になりました。雪かきで疲れていたのは確かですが、転倒したり尻餅をついた訳でもないので骨折などは無く、おそらく”筋・筋膜性腰痛”であろうと思いました。
最初は夜寝返りもうてない程の腰・背部痛で、上記の薬方を色々組み合わせて使うこと2週間、ようやく頑固な便秘は治ったものの体動時に起こる痛みは相変わらずです。
漢方、鍼灸と総動員するも、なかなか収まらぬ痛みにとうとう母が焦れてしまい病院に行くことになりました。レントゲンを撮るものの、ハッキリした所見は得られず「では、次週MRIを」ということになりました。
その結果、4週目にして腰椎の圧迫骨折が判明しました。「なるほど、それで痛かったのか」と母は納得、実はそのころには痛みも半減していましたが・・・。
今回の教訓は、「老人の骨は案外と脆い、便秘を伴う急激な腰・背部痛は、転倒が無くとも圧迫骨折を考慮すべき」ということでした。
ただ、漢方と鍼灸の併用は意外に効果があるなあという感じはありましたね。