さて、今回は『冷え症』についてのお話しです。
漢方医学を易しく理解するために次のようなイメージを思い浮かべて下さい。
よく映画に出てくるような少し古ぼけたビルディング(余り高層ではありません、5~6階建てくらい)、地下に暖房用のボイラー室があり、建物の壁の中にはヒーター用のパイプが走っています。各部屋にはヒーター本体(放熱板)がありますが、部屋ごとの温度調節はできません。
イメージはよろしいですか?
それでは『冷え症』の病態をタイプ別に説明しましょう。
・気虚:元気がなく、疲れやすく、食の細い人。冬になると”炬燵虫”になってしまいます。
→ボイラーの故障
・血虚:乾燥肌、抜け毛、めまい、顔色不良、不眠などのある人。”気虚”との併存が多い。
→ヒーター用オイル(パイプの中を巡る)の不足
・水滞:むくみ、めまい、尿利変化、吐き気など。気や血の巡行を阻害する。
→ボイラー室、パイプ周辺、各部屋に湿気が多い状態
・瘀血:全身または局所の血流障害。生理不順、月経困難症、不妊の原因です。
→パイプ、放熱板の故障
・気逆:気の巡りが悪くなり頭がのぼせて手足が冷える(のぼせ冷え)人です。
→ヒーターの熱が各部屋に行かず、ビルの上階に溜まってしまった状態
どうですか、何となく理解して頂けたでしょうか?
それでは次回は各々のタイプ別漢方薬についてお話しします。