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病気の悩みを漢方で

症状と漢方薬

咳と痰

(1)感冒初期の咳と痰
(2)こじれた感冒の咳と痰

1.漢方医療を行うための情報

漢方医療は「どのような人」が「いつ」「どのように悩んでいるか」に対応します。

相談風景

  1.  人を診る:「どのような人」か、体力の余力の程度や、気質を判断します。そのために患者さんの様子(姿勢、話し方、顔の色艶など)の情報が必要です。ですから電話のご相談ではなく、ご本人様が漢方相談薬局へお越し下さい。
  2.  時を診る:「いつ」というのは、症状が出始めてからの経過時間のことです。風邪に伴う「咳」の治療は「ひきはじめ」か、数日以上経った時期か、によって異なります。
  3.  症状群を診る:「どのように悩んでいるか」は、主要な症状(主訴)以外の色々な症状が治療薬を選ぶ指針になることを意味しています。ですから、悩みを色々話してください。
     このように患者さんの様子と相談された悩みの内容から、漢方医学的な病態を考えて、適切な漢方薬・処方を選びます。

2.「ひきはじめ」の感冒(風邪)の咳

 以下に処方の特徴を記載します。ご相談の時には、感冒の主症状(発熱、頭痛、寒け)以外の症状をくわしく話してください。

 麻黄湯(マオウトウ): これはインフルエンザのような「節々の痛む感冒」に用います。頭痛と関節痛や腰痛を伴う感冒の咳に用います。麻黄(マオウ)や杏仁(キョウニン)を含む処方です。

麻黄湯の配剤生薬の写真

麻黄湯の配剤生薬の写真

 杏仁はアンズの種子です。中国では食用の杏仁を甜杏仁(テンキョウニン)、薬用の杏仁を苦杏仁と言っています。甜は甘いという意味です。アーモンドと同じ仲間ですが、写真のようにアーモンドより肉厚でハート形です。

杏 仁 アンズの花

杏 仁

アンズの花

 小青竜湯(ショウセイリュウトウ):鼻水や水分の多い泡のような痰を伴う咳には小青竜湯(ショウセイリュウトウ)が適します。
 薄い痰やくしゃみを伴う「鼻風邪」に用いる処方です。

 この処方には、麻黄のほかに抗アレルギー作用のある桂皮(ケイヒ)や細辛(サイシン)、甘草(カンゾウ)、五味子(ゴミシ)などが含まれています。漢方の抗ヒスタミン剤です。
 ですから小青竜湯はイラストのような「鼻水の滴る」アレルギー性鼻炎(花粉症)症状にも用いられています。


小青竜湯の配剤生薬の写真 水分の多い痰を伴う咳

小青竜湯の配剤生薬の写真

 五味子は、チョウセンゴミシという植物の果実です。五種類の味(酸・苦・甘・辛・鹹)がすることから命名されましたが、煎液はすっぱい味(酸)が主体です。五味子は漢方では体力をつけて咳を止める薬として使用されてきました。最近、肝臓機能を改善する作用成分を含むことも明らかにされています。

五味子

五味子

 甘草(カンゾウ)は、麻黄など咳に用いる多くの漢方薬と組み合わせて用いられています。抗アレルギー作用や抗炎症作用が寄与しています。

甘 草

甘 草

3.少し経過した時期の感冒の咳

 麻杏甘石湯(マキョウカンセキトウ): 少し経過した時期に用いる漢方「咳止め」薬に相当する処方です。のどが渇く場合が多いようです。

 これには、石膏(セッコウ)という鉱物が含まれています。漢方薬の原料の多くは植物ですが、鉱物や動物から調製される物もあるのです。

 石膏は黒板に字を書く白墨(ハクボク)やセメントの原料、および彫刻材料に用いる白い石です。骨折した時に患部を固定するギブスは、石膏末で固めた包帯です。これはギプス(Gips)というドイツ語に由来します。

麻杏甘石湯の配剤生薬の写真
麻杏甘石湯の配剤生薬の写真

4.風邪の咳の養生と漢方薬の服用法

自動煎じ器「文火楽々」

 風邪を治すのは身体の抗病力(免疫力)です。無理をせず、脂っこいものを避け、消化のよい温かいものを食べて(仕事のペースを落として)養生してください。漢方薬は抗病力を支援するのです。

 なお漢方処方、とくに今回紹介した小青竜湯は温かい煎じ薬を服用することをお勧めします。煎じ薬は調製過程を一定にすることが重要ですので、市販の煎じ器を用いるとよいでしょう。

 また、煎液を調製する時の香りも漢方薬の薬効に関与しています。

~ちょっと一言~

東の青竜 小青竜湯の処方名は東方を守る青竜(セイリュウ)という神(神獣)の名前に由来しています。
 中国古来の四神はキトラ古墳(奈良県明日香村)の天井に描かれていました。北方は玄武(ゲンブ)、東方は青竜、南方は朱雀(スザク)、西方は白虎(ビャッコ)です。

 四神の色は大相撲の土俵上の四隅にある房の色に一致しています。相撲のテレビカメラは北から南方向に向かって撮影していますので、テレビ画面の左が東方です。東の横綱が朝青龍であることは、四神の色に叶っています。

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