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漢方薬名の意味

1.温経湯(ウンケイトウ)の謂われ…経絡を温める湯剤

 温経湯の(ウンケイトウ)方剤名は「(ケイ)を温める」湯剤(トウザイ:煎じ薬)という意味です。温は、あたためる意味なので「オン」と読む方が適切ですが、「ウン」と発音されています。

 は、経絡(ケイラク)のことで、(キ)と(ケツ)と(スイ:津液シンエキ)の通路の総称です。 現在の血管や神経に相当します。

温経湯の名称には、経絡を温めて気血水の巡りをよくし五臓の機能を調えて全身症状を改善する効能を担う意味が込められています。

 なお温経湯は現在、冷え症傾向の人の月経不順や婦人更年期障害に用いられていますので、「温めて月経を調える」方剤、とも言えます。

 温経湯と月経不順に関しては、血の道症(2)月経不順(1)を参照してください。

2.温経湯の適応

 温経湯は、体力中等度以下で、下腹部が冷えるが、手足がほてり、唇が乾く人の「月経不順、月経痛、不正出血、こしけ、更年期障害、不眠、神経症」に用いられます。

 身体や皮膚に「うるおい」が乏しく「肌荒れ、湿疹・皮膚炎(いわゆる主婦湿疹)、しもやけ」にも適します。

3.温経湯の配合生薬(1)…温めて全身の機能を調える

 温経湯には12種類の生薬が配合されています。この中で温める効能のある生薬は、桂皮(ケイヒ)、呉茱萸(ゴシュユ)、当帰(トウキ)、川キュウ(センキュウ)、生姜(ショウキョウ)、半夏(ハンゲ)と人参(ニンジン)の7種類です。桂皮呉茱萸が本方の主薬だと考えられています。これらは漢方用語では散寒(サンカン)薬と言います。

 多くの散寒薬を含む本方は温めて身体の機能を高め調える方剤です。

 中でも呉茱萸(ゴシュユ)は、冷え症に用いられる代表的な生薬の一つで、冷えに伴う頭痛やむかつきを軽減します。

4.温経湯の配合生薬(2)…血(ケツ)の機能を調える

 温経湯には

  • 栄養状態の不足傾向の血虚(ケッキョ)を補って身体の機能とくに月経周期を調える補血(ホケツ)薬の当帰(トウキ)、芍薬(シャクヤク)と、
  • 血の巡りの悪いオ血(オケツ)病態を軽減する川キュウ(センキュウ)、牡丹皮(ボタンピ)という駆オ血(クオケツ)薬が配合されています。

 これらは「血の道症」の諸症状を軽快する温経湯の効能を支えている生薬類です。

5.温経湯の配合生薬(3)…潤いを保つ

 温経湯には阿膠(アキョウ)、麦門冬(バクモンドウ)、人参(ニンジン)が配合されています。これらは身体の水分が不足した津液不足(シンエキフソク)を補って潤いを回復させる生薬です。生津(セイシン)薬や養陰(ヨウイン)薬と言われています。

 阿膠(アキョウ)は、ロバなど哺乳動物の皮、腱、靱帯などから調製したコラーゲンです。

 これらは、皮膚の乾燥、肌荒れ(湿疹・皮膚炎)などを軽快する温経湯の効能を支えている生薬類です。なお補血(ホケツ)薬の当帰(トウキ)と芍薬(シャクヤク)も潤いを保つ効能があります。

~ちょっと一言:温経湯の応用

 温経湯は「冷えて乾いた」病態を改善する方剤です。おもに婦人更年期障害、血の道症、月経不順による不正性器出血、頭痛、冷え症、皮膚の荒れ(指先のひび割れ)に用いられます。

 なお、腰や下半身の冷え症が主体ですが、上半身や手の平の「ほてり」、口の乾燥などを伴う場合もあります。胃腸機能を調える人参甘草生姜半夏が配剤されているので連用に適します。

 現代医学的には多嚢胞性卵巣症候群や不妊症に用いられています。

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