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漢方薬名の意味

1.清暑益気湯 (セイショエッキトウ)の謂われ・・・暑さを冷やし気を益す

 清暑益気湯(セイショエッキトウ)のは清める、冷やす、は暑気払いという言葉があるように夏の暑さなどの発病誘因(暑邪 ショジャ)のことです。益気は生命活動の源( キ)の不足を益すという効能です。
 そこで方剤名は、暑邪を冷やしを益して体力を回復させる効能を示しています。方剤名から熱中症・夏ばて・夏やせに適していることが類推できます。

 本方の適応となるの不足は、消化吸収や代謝機能の低下による意欲低下、疲労倦怠感、だるさなどから判断されます。

2.清暑益気湯 (セイショエッキトウ)の適応・・・夏ばて、夏やせ

 清暑益気湯は、軽い熱中症、暑気あたり・夏ばて・夏やせによる全身倦怠感、だるさ、発汗後の口渴、食欲不振、下痢、熱の蓄積によるほてり感に用いられます。


清暑益気湯は、熱中症と夏ばて(2.夏ばて)でも紹介しています。本方と白虎加人参湯(ビャッコカニンジントウ)との使い分けなどを参考にしてください。

3.清暑益気湯(セイショエッキトウ)の配合生薬

 清暑益気湯を構成する9生薬を示しました(図2)。

清暑益気湯の基本は、黄色で示した3生薬です。
 ・疲労感、だるさに対する人参(ニンジン)と黄耆(オウギ)と、
 ・栄養不足や乾燥傾向に対する黄耆当帰(トウキ)の組み合わせです。
 本方の特徴は、図2の左上の点線で囲んだ3生薬にあります。これは発汗や下痢後の脱水状態(口渇、動悸、息切れ、声がれ)を軽減する生脈散(ショウミャクサン)の構成生薬です。

4.清暑益気湯(セイショエッキトウ)の関連方剤(1)

 清暑益気湯 の関連方剤に十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)と人参養栄湯(ニンジンヨウエイトウ)があります(図3)。
 この3方剤の適応症状は、疲労倦怠感、意欲低下、食欲不振、夏ばて・夏やせ、などで類似しています。
 それぞれの方剤の特徴は、
 ・十全大補湯人参養栄湯は栄養不足を補う熟地黄(ジュクジオウ)を含みます。
 ・人参養栄湯は不眠、空咳、息切れなど上半身の症状に用いられる遠志(オンジ)や五味子(ゴミシ)を含みます。
 ・清暑益気湯図2に示した生脈散を含むことです。発汗後の口渇などの水分不足状態を潤して軽減する方剤です。

 十全大補湯人参養栄湯に関しては、疲労感の漢方(3.栄養不足と疲労感)も参照してください。

5.清暑益気湯(セイショエッキトウ)の関連方剤(2)

 清暑益気湯の関連方剤には、熟地黄を含まない補中益気湯(ホチュウエッキトウ)と六君子湯(リックンシトウ)もあります(図4)。
 この2方剤は清暑益気湯と同様に倦怠感、胃腸虚弱、食欲不振、夏ばてに用いられます。それぞれを特徴つける生薬は、
 ・補中益気湯 は、だるさ、筋肉緊張の低下に対する柴胡(サイコ)と升麻(ショウマ)と黄耆(オウギ)です。
 ・六君子湯は、胃もたれ、嘔気を軽減する半夏(ハンゲ)と茯苓(ブクリョウ)です。

 この3方剤に関しては、疲労感の漢方(2.胃腸虚弱と疲労感)も参照してください。
 六君子湯に関しては、胃もたれの漢方(3.胃腸虚弱)でも解説しています。

6.熱中症・夏ばて・夏やせの経過に応じた治療

 夏ばて・夏やせの疲労倦怠感・食欲不振に用いられる方剤の使い分けのイメージを図5に示しました。

清暑益気湯に関連する人参配合剤は、以下の様に使い分けられます。
 1)ほてり感・口渇など脱水状態があるときには、まず清暑益湯を用います。
 2)手足の「だるさ」や倦怠感が顕著であれば補中益気湯
 3)食欲不振が強く嘔気や胃もたれを伴えば六君子湯
 4)冷え症傾向で軟便下痢(冷房下痢)、腹痛があれば人参湯
 5)夏ばてが長引き栄養不足で顔色が悪くなれば十全大補湯の適応になります。

 夏ばてに関しては、熱中症と夏ばて(2.夏ばて)も参考にしてください。
なお夏ばてに伴う吐き下しには、人参を含まない五苓散(ゴレイサン)や藿香正気散(カッコウショウキサン)も用いられます(図5)。
 藿香正気散に関しては、夏かぜの漢方(1.胃腸症状)も参照してください。

~ちょっと一言:清暑益気湯(セイショエッキトウ)の応用と夏ばて予防

 ここでは夏ばて状態(疲労倦怠感、やる気がでない、食欲不振)に用いられる清暑益気湯(セイショエッキトウ)をはじめとする人参(ニンジン)配合剤を紹介しました。

 清暑益気湯は、日頃から胃腸の弱い人が、炎天下で汗をかいて水分不足状態になり口渇とほてり感のあるときに用いられる方剤です。

 一方、日頃から胃腸の弱い人が強い冷房や冷たい飲み物の摂りすぎで夏ばてになった場合は、補中益気湯(ホチュウエッキトウ)や六君子湯(リックンシトウ)が適します。軟便や下痢傾向(冷房下痢)であれば人参湯(ニンジントウ)の適応です。

 夏ばての予防・養生: 冷房の風が当たらないようにして寝る、冷たい物の飲食を控える、シャワーではなく浴槽で温まる、などの生活習慣の見直しを心がけてください。

(2017年7月●日公開)

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