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症状と漢方薬

1.脳血管性認知症の概要

 脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血によって血流が途絶えた部位の脳神経の機能が低下して発症します。記憶や判断の低下に加えて、歩行障害、手足の麻痺、話しにくい(ろれつが回りにくい)、などの症状を伴います。

 まだら認知症: 脳血管性認知症では、脳の障害の部位や血流の変動によって認知機能障害などの症状が変動します。このため「まだら認知症」といわれます。

 脳血管性認知症の誘因となる脳梗塞や脳出血の原因としてメタボリック・シンドローム(内臓脂肪症候群)や糖尿病、高血圧などの生活習慣病が深く関係しています(図1)。

2.脳血管性認知症治療の概要

  脳血管疾患の急性期の救命救急治療は科学医療の領域です。なるべく早く、専門医のいる病院を受診してください。

 脳血管性認知症の治療では
 1) 脳卒中や脳梗塞の再発を予防するための治療が必須です。
 2) 認知症の記憶障害などの中核症状は、コリンエステラーゼ阻害剤の適応になります(アルツハイマー型認知症の治療と同様です)。
 3) 行動・心理症状(BPSD)のある人には抗精神病薬も用いられます(図2)。
 中核症状やBPSDに関しては、認知症の漢方(1.基礎知識)を参照してください。

 ※生活習慣病の治療(進行予防)に関する防風通聖散(ボウフウツウショウサン)や大柴胡湯(ダイサイコトウ)については、糖尿病の漢方(2.病期に応じた治療1)を参照してください。

3.黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)・・・興奮、いらだちを伴う脳血管性認知症

 脳血管性認知症の漢方医療では、脳卒中や脳梗塞の原因となる高血圧に伴う症状を軽減する方剤が用いられます。

 黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)は、高血圧傾向で、興奮、のぼせ、顔面紅潮(黒みをおびた赤ら顔)、頭痛、いらだちなどに用いられてきました。

 この経験を応用して、脳血管性認知症に用いたところ、怒りや不機嫌などの症状が軽くなることが明らかにされています。

 

 黄連解毒湯に関しては高血圧(2.頭痛・のぼせ1)、を参照してください。

※(医療用)黄連解毒湯製剤のエビデンス
(臨床研究)
 ・脳血管性認知症に伴う怒りや不機嫌を軽減する。
 ・脳血管障害後遺症の頭重、のぼせ感、肩こりを軽減。
(基礎研究)
 ・脳血流遮断後病態モデルの脳血流を増加。
 ・脳虚血マウスの空間学習行動障害を軽減。
 ・抗動脈硬化作用、血小板凝集抑制作用、過酸化脂質生成抑制作用。

4.黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)の配合生薬

 黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)は、のぼせを冷やす4生薬からなります。
 ・黄連(オウレン)や山梔子(サンシシ)は、興奮状態を鎮め、
 ・黄ゴン(オウゴン)と黄柏(オウバク)は、高脂質血症を改善する作用があります。

5.釣藤散(チョウトウサン)・・・頭痛、耳鳴りを伴う脳血管性認知症

 釣藤散(チョウトウサン)は、高血圧に伴う頭痛や耳鳴りめまいに用いられてきました。頑固で気むずかしく、いらだちやのぼせ傾向のある中年以降の人に適します。

 この経験を踏まえて軽度の脳血管性認知症患者に釣藤散を投与したところ、表情の乏しさや睡眠障害などの興奮性の精神症状を軽減し、認知症の進展を遅らせる効果のあることが明らかになっています。

 釣藤散に関しては、
  頭痛(2.高血圧と肩こりに伴う頭痛)
  高血圧(3.頭痛・のぼせ2)、を参照してください。

※(医療用)釣藤散製剤のエビデンス
(臨床研究)
 ・脳血管障害後遺症患者の、頭痛。頭重感、めまい、肩こり、焦躁感を軽減する。
 ・軽度の脳血管性認知症患者の表情の乏しさや睡眠障害などの興奮性の精神症状を軽減し、認知症の進展を遅らせる。
(基礎研究)
 ・脳卒中自然発症ラットの発症を抑制する。
 ・配合薬の釣藤鈎(チョウトウコウ):脳虚血マウスの空間学習行動障害を軽減する。

6.釣藤散(チョウトウサン)の主な配合生薬

 釣藤散(チョウトウサン)の主な配合生薬は釣藤鈎(チョウトウコウ)と菊花(キクカ)です。
 釣藤鈎には鎮静作用、血管拡張作用、神経細胞保護作用などがあり、これらが認知症の症状を改善し、進行を遅らせる効果に関与していると考えられます。

~ちょっと一言:脳血管性認知症治療における漢方製剤

 脳血管性認知症の治療で、まず重要なのは脳血管障害の再発を予防するために高血圧や糖尿病などの基礎となる生活習慣病を治療することです。

 さらに身体麻痺や言語障害を回復させるリハビリテーションも必要です。

 生活習慣病の予防には防風通聖散(ボウフウツウショウサン)や大柴胡湯(ダイサイコトウ)などの大黄(ダイオウ)を含む方剤が用いられます。

 ここでは脳血管性認知症の行動・心理症状(BPSD)を軽減するために用いられている黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)と釣藤散(チョウトウサン)を解説しました。いずれも、のぼせ傾向で、性急でいらだちを伴う状態に適します。

 脳血管性認知症の漢方治療は現代医療の薬物との併用が必要になりますので、主治医の先生と相談してください。

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