漢方を知る

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病気の悩みを漢方で

症状と漢方薬

不妊(女性不妊)

(1)女性不妊
(2)男性不妊

1.妊娠力をつけたい

 薬局では「子宝相談」や「妊娠力をつけたい」という健康相談も多いようです。

 不妊対策の第一歩は、専門医による女性側・男性側の検査を受けることです。
 検査で大きな異常がなければ、女性不妊治療はまず月経周期を調え、排卵日を予測した「タイミング療法」からはじまります。この時には、漢方医療も補助的に役立ちます。

 漢方医療の対象となる不妊は、体力が低下した人や精神的な要因のかかわる場合です。女性不妊に対する漢方医療は、女性の心身を整える身体つくりが目標です。月経周期を調え排卵を促し、「妊娠力をつけ、それを維持できる身体」にすることです。

2.十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)…胃腸虚弱で貧血傾向の不妊症

 女性に妊娠力をつけそれを維持するための基本方剤が十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)です。本方は、人参(ニンジン)と地黄(ジオウ)を含む方剤です。日頃から体力虚弱で貧血傾向、疲労倦怠感、食欲不振、手足の冷えなどを伴う人の月経不順や無月経や不妊症に適します。

 本方に関しては、血の道症(3)月経不順(2)を参照してください。

3.温経湯(ウンケイトウ)…冷え症とのぼせと皮膚乾燥を伴う不妊症

 温経湯(ウンケイトウ)は、足腰は冷えるが、手の平がほてり、口内が乾燥し皮膚も乾燥傾向で肌荒れしやすい人の月経不順や無月経や不妊に適します。

 温経湯の配合生薬は方剤名の謂われ(2)を、本方と十全大補湯の関連については、血の道症(6)無月経を参照してください。

4.当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)…むくみと貧血傾向・冷え症の不妊症

 当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)は、右のイラストのように冷え症で顔色が悪く(青白く)、疲労しやすく、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸、むくみなどを伴う月経不順、月経痛、不妊に適します。

 本方は、
 ・顔色が悪く疲労しやすいという(ケツ)の病態を調整する当帰(トウキ)、川キュウ(センキュウ)、芍薬(シャクヤク)と
 ・むくみやめまいなど(スイ)の停滞を軽減する茯苓(ブクリョウ)、白朮(ビャクジュツ)、沢瀉(タクシャ)
からなる方剤です。

 当帰芍薬散は女性不妊や流産予防の他に、産前産後の女性保健薬として活用されています。

 冷え症(3)全身の冷えを参照してください。

5.加味逍遙散(カミショウヨウサン)…精神的要因の大きな不妊症

 加味逍遙散(カミショウヨウサン)は、不安、気うつ、イラダチなど精神神経症状を伴う人の月経周期の乱れや不妊に適します。

 精神神経症状を緩和する柴胡(サイコ)と山梔子(サンシシ)及び(ケツ)の不足を補う当帰(トウキ)を含む方剤です。

 加味逍遙散については、血の道症(4)月経不順(3)を参照してください。

6.女性不妊の現代医療における漢方製剤

 女性不妊の治療において西洋医学の視点から使用されている医療用漢方製剤を以下に示します。ホルモン分泌の正常化作用が関与しているようです。

 さらに体外受精-胚移植などの生殖補助医療と当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)や温経湯(ウンケイトウ)との併用療法も行われています。

 このような西洋医学の治療と医療用漢方製剤の併用に関しては、産婦人科の先生に相談されると良いでしょう。

7.女性不妊に用いられる漢方方剤のまとめ

  薬局での「子育て相談」では、患者さんの様子や不妊に伴う症状から、(キ)(ケツ)・(スイ)の機能や循環を判断します。

 なお気血水に関しては、総論(4:気血水)および血の道症(5)・月経不順(4)を参照してください。

 ここで紹介した女性不妊に用いられる主な漢方方剤を漢方医学の病理で整理すると、以下のようになります。

 相談を受けた薬剤師は以下のような病理病態を考えながら適切な漢方方剤を選びます。 そのため子育て相談では、食欲、排便、睡眠等全身の状態を話してください。それらが漢方の診断に役立ちます。

~ちょっと一言:女性の「妊娠力」をつける薬用酒

 冷え症で疲れやすい女性の不妊を予防する薬用酒。

 当帰(トウキ)、芍薬(シャクヤク)、川キュウ(センキュウ)、熟地黄(ジュクジオウ)各40gと人参(ニンジン)40gを焼酎(25度のホワイトリカー1.8L)に漬けて2ヶ月ほど抽出します。好みに応じて氷砂糖100g程入れます。

 1日1回20mLほどを寝る前に飲むとよいでしょう。

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