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病気の悩みを漢方で

漢方医療とは

1.漢方医学の正氣気血水津液)と五臓

 漢方医学では人体の生命維持活動(正氣 セイキ)は気血水津液)と五臓の連携で維持されていると考えます。今回は五臓を概説します。
 気血水(津液)気血水を参照してください。

2.漢方医学の五臓

 漢方の五臓)の生理機能と主な病証図1にまとめました。


 五臓現代の解剖学の内臓とは異なる観点の漢方医学独自の機能単位です。現代の内臓と類似した機能も有しますが、気血水津液)論と連携して心身活動にも関与します。

3.五臓名を含む主な方剤

 五臓の生理や病理は五臓名を含む方剤の適応病態から類推できます(図2)。気血水津液)の病理も対比しました。


 今回は(カン)と(シン)の病証を中心にして解説します。の病証は自律神経失調症の不定愁訴に関係があります。
 なおは消化器系、は呼吸器系、は生殖泌尿器や運動器の機能と関係します。

 帰脾湯漢方薬名の意味:帰脾湯を、清肺湯漢方薬名の意味:清肺湯を、牛車腎気丸漢方薬名の意味:牛車腎気丸を参照してください。

4.抑肝散(ヨクカンサン)と(カン)の病証

 抑肝散は泣き叫ぶ幼児の「疳 カンの虫:図3」の治療薬として創案されました。漢方薬名の意味:抑肝散を参照してください。
 抑肝散の適応を病証で表現すると、
神経の高ぶりいらだち怒りなどは肝気上逆(カンキジョウギャク)や肝風(カンフウ)と考えます。これは気逆に相当します。
抑うつ感膨満感肝気鬱結(カンキウッケツ)と考えます。気滞に相当します(図4)。




 神経の高ぶりを鎮める(熄風する)抑肝散の応用例に関しては、夜泣き認知症(3.アルツハイマー型認知症)がん(3.術後の諸症状)を参照してください。

5.三黄瀉心湯(サンオウシャシントウ)と心(シン)の病証

 三黄瀉心湯顔面紅潮のぼせいらだち不眠に用いられます。高血圧傾向の人の興奮状態に適します。漢方薬名の意味:三黄瀉心湯を参照してください。

 本方の適応病態の興奮状態は心火上炎(シンカジョウエン)や気逆(キギャク)です。清心瀉火薬(セイシンシャカヤク)や降気薬(コウキヤク)の黄連(オウレン)の適応です(図5)。


 方剤名の瀉心は、心熱(のぼせ、煩燥)を瀉す(少なくする)、あるいは心下痞(シンカヒ:心窩部つかえ)を瀉す(移動させる)という意味です。

 三黄瀉心湯の関連方剤として黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)があります(図6)。


 両方剤はともに赤字の清熱薬のみで構成され興奮のぼせに用いられます。便秘であれば大黄(ダイオウ)を含む三黄瀉心湯の適応になります。
 両方剤の応用例は自律神経失調症(3.方剤解説1)を参照してください。

ちょっと一言:(トピックス)

五臓論気血水津液の有用性

 漢方医学の五臓気血水津液)は現代の解剖学生理学と相容れない理論です。
 しかしながらこれらの漢方理論は、現代医学の病理が軽微虚弱状態や自律神経失調症に伴う不定愁訴の治療では生薬や方剤を選ぶ手がかりになります。 

(2021年5月10日 改訂公開)


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