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漢方薬名の意味

1.滋陰降火湯(ジインコウカトウ)の謂われ
  ・・・陰液を滋養して火を降ろす(さます)

 滋陰降火湯(ジインコウカトウ)の滋陰(ジイン)と降火(コウカ)はともに薬能を意味しています。滋陰陰液(インエキ)を滋養する(補う)こと、降火陰液の不足による(のぼせなどの熱症状)を降ろす(さます)という意味です。

 漢方医学では、陰液(インエキ)と陽気(ヨウキ)量や機能が調和して健常状態が維持されると考えています(図1の上)。陰液が不足した病態が陰虚(インキョ)です(図1の下)。

 陰液が不足すると陽気が相対的に強くなるためのぼせ、口の乾燥、乾咳などの熱証状がでます。これが滋陰降火湯の適応病態です。

 陰液は、(ケツ)や津液(シンエキ)や(セイ)などの体内の液体成分のことです。陰液が不足した陰虚(インキョ)の病態には血虚(ケッキョ)と津液不足(シンエキフソク)が含まれます。

2.滋陰降火湯(ジインコウカトウ)の適応・・・痰が切れにくい長引く咳嗽

 滋陰降火湯(ジインコウカトウ)の主な適応は、体全体が乾燥している病態です。

 とくに少量の切れにくい痰を伴う長引く咳嗽に用いられます。布団に入って暖まると咳が出やすい高齢者に適します。

  本方の適応となる乾燥病態は口の中、のどにうるおいがなく、皮膚が浅黒くて乾燥し、便秘傾向として判断されます。

  さらにこの乾燥病態に加えて、のぼせ、ほてりや夕方の微熱、寝汗などの(軽度の)熱症状を伴う場合に適します。これが方剤名の滋陰(ジイン)と降火(コウカ)の意味です。

3.滋陰降火湯(ジインコウカトウ)の主な配合生薬

 日本で使用されている滋陰降火湯は10種の生薬を組み合わせた方剤です。陰液不足を補うために補血薬(ホケツヤク)と生津薬(セイシンヤク)が含まれています。

 主な補血薬地黄(ジオウ)と乾地黄(カンジオウ)です(図2)。

 さらに本方には、咽の乾燥をうるおして咳を軽減する生津薬(セイシンヤク)の麦門冬(バクモンドウ)と天門冬(テンモンドウ)が配合されているのが特徴です(図3)。

4.滋陰降火湯(ジインコウカトウ)の関連方剤

 4.1) 滋陰至宝湯(ジインシホウトウ)
 滋陰至宝湯(ジインシホウトウ)は、滋陰降火湯と同じように咽が乾燥し粘る痰を伴う長引く咳嗽に用いられます。
 両方剤には、当帰(トウキ)と麦門冬(バクモンドウ)などが共通して配合されています(図4)。
  ・滋陰降火湯は、天門冬(テンモンドウ)と地黄(ジオウ)などの口・のど・皮膚の乾燥状態
    を潤す生薬が含まれ、長引く咳嗽に適します。
  ・滋陰至宝湯は、柴胡(サイコ)や香附子(コウブシ)が含まれているので、いらだち、気うつ、
    精神緊張を伴う長引く咳嗽に適します。

 4.2) 清肺湯(セイハイトウ)
  清肺湯(セイハイトウ)は、滋陰至宝湯滋陰降火湯と同じように配合生薬、長引く咳
  に用いられますが、両方剤より痰が多く出る咳に適します。

 4.3) 麦門冬湯(バクモンドウトウ)
   麦門冬湯(バクモンドウトウ)も生津薬(セイシンヤク)の麦門冬(バクモンドウ)が主薬ですから   滋陰降火湯と同じように長引く咳に用いられます。

清肺湯麦門冬湯は、
  ・COPD(慢性閉塞性肺疾患)
  ・かぜの漢方(3.長引く咳)に解説していますので参照してください。

~ちょっと一言:滋陰降火湯(ジインコウカトウ)の応用

 滋陰降火湯は、かぜがこじれて、痰は少ないが切れにくくて咳き込む状態に用いられます。身体の乾燥傾向が顕著で、口やのどが乾き、皮膚が浅黒くて乾燥し、便秘傾向のある場合に適します。また寝汗(盗汗)やほてり感を伴うこともあります。

 本方は連用すると胃腸の弱い人では、少し胃にもたれることがあります。その場合は関連する滋陰至宝湯麦門冬湯(バクモンドウトウ)に変方するとよいでしょう。

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