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病気の悩みを漢方で

症状と漢方薬

1.月経痛(生理痛)

 月経痛(生理痛)は、月経困難症の主な症状です。一般用漢方製剤の適応となるのは、はっきりした病変・原因のない「機能性月経困難症」に伴う月経痛です。

 漢方製剤を数ヶ月服用しても痛み軽減せず長引く場合は、子宮筋腫や子宮内膜症なども疑われますので、婦人科を受診することが必要でしょう。

2.冷えと月経痛(生理痛)に対する漢方医療の眼

 漢方医学では、冷えや痛みは、(キ)や(ケツ)の不足や機能低下や循環不全によると考えています。この不足の病態は、気虚(キキョ)や血虚(ケッキョ)、循環不全の病態は気滞(キタイ)やオ血(オケツ)といいます。

 さらに冷えに水滞(スイタイ:むくみ)が関与することもあります。漢方医療の気血水に関しては、総論(4:気血水)を参照して下さい。

3.冷えと月経痛(生理痛)に用いる漢方処方

 冷えを伴う月経痛(生理痛)に用いられる主な処方は、加味逍遙散(カミショウヨウサン)、五積散(ゴシャクサン)、当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)です。

 これらには
  ・「頭痛、肌荒れ、腰痛」などのオ血を改善する駆オ血薬(クオケツヤク)や、
  ・「イライラ、不安、気うつ」などの気滞を改善する理気薬(リキヤク)が配合されています。

4.芍薬と当帰…冷えと月経痛(生理痛)に用いられる主要な生薬

  冷えを伴う月経痛(生理痛)に用いられる主な3処方には、芍薬(シャクヤク)と当帰(トウキ)が共通して配合されています。

 芍薬当帰は、冷えを伴う月経痛に対して、(ケツ)の不足した病態を改善し、月経を整え、痛みを止める重要な生薬です。

 芍薬(シャクヤク 写真の上)の漢方医学的な効能は「養血(ヨウケツ)・調経(チョウケイ)・止痛」とされています。芍薬甘草(カンゾウ)と組み合わせて月経痛のような筋肉が緊張して痛む病態を緩和します。(養血補血と同じような意味です)

 当帰(トウキ 写真の下)の漢方医学的な効能は「補血(ホケツ)・活血(カッケツ)、調経止痛」とされています。(活血オ血を改善する駆オ血と同じような意味です)

5.芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)…痛みの予防と緩和に併用

 月経痛の治療は、月経痛の背景となる全身の病理病態を調整する処方と、痛みを予防緩和する処方を組み合わせます。

 月経の約1週間ほど前から、痛みの予防と緩和を目指して芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)をこれらの処方と併用するとよいでしょう。なお併用処方として、冷えと胃もたれなどの胃腸症状が強い場合は安中散(アンチュウサン)が適する場合もあります。

6.冷えと月経痛(生理痛)に用いる漢方処方の使いわけ

 冷えを伴う月経痛(生理痛)に用いられる主な3処方は、以下のような症状群(病態)を指標にして使い分けられます。

 加味逍遙散は、精神神経症状の多い場合に適します。月経痛の軽減とともに、イライラ、興奮しやすい、不安感、ゆううつ、くよくよするなどの精神的な症状を改善します。
 PMS(2:イライラ感と怒り)を参照してください。

 五積散は、即効性は乏しいですが胃腸症状を有する人にも長期の服用が可能です。月経痛の軽減とともに、冷えると悪化する頭痛、腹痛、腰痛、関節痛などを改善します。

 当帰芍薬散は、貧血の傾向があり疲労しやすい人の頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを伴う月経痛に適します。
 冷え症(4:全身の冷え)を参照してください。

 以上のように、月経痛の治療は、患者の体質や月経痛を含む全身の症状群から漢方医学の病態を診断し処方を使い分けます。  そのため、漢方相談に際しては月経痛以外の症状と日頃の食欲、便通、睡眠の状態なども話して下さい。

~ちょっと一言:芍薬甘草湯は、漫然と長期に服用しないで下さい

 医療用の芍薬甘草湯には「使用にあたっては、治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること」という使用上の注意が記されています。

 甘草を多く含む芍薬甘草湯は、長期に連用すると、むくんだり、血圧が上がったりする副作用が出る可能性があります。服用は必要な期間だけにとどめてください。

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