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病気の悩みを漢方で
総論
1.漢方処方の服用の形態
多くの漢方処方は、●●湯(トウ)と記されるように煎じ薬を温かい液体として服用してきました。これを煎剤(センザイ)あるいは湯剤(トウザイ)といいます。
一方、桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)や当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)のように丸剤(ガンザイ)や散剤(サンザイ)という剤形もあります。これらは食物繊維のような水に溶けない成分や、熱で分解し揮発しやすい香り成分の服用に適します。
なお、丸剤や散剤を煎剤として服用する場合は、丸料(ガンリョウ)や散料(サンリョウ)と表現されます。(その時には構成生薬を約5倍量にして煎じます)
エキス製剤は、煎剤を調製後に水分を除去して得られるエキス粉末に賦形剤を加えて顆粒剤や錠剤やカプセル剤として製剤したものです。
2.桂枝茯苓丸(丸剤)
丸剤は、慢性の症状をゆっくりと癒やすのに適した剤形です。
桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)は冷えのぼせ、腰痛などに悩む婦人更年期障碍に用いられてきました。
3.桂枝茯苓丸料(煎剤)
煎剤は、生薬の成分を水で煎じて抽出した液体を服用する基本的な剤形です。
桂枝茯苓丸のような丸剤も煎じ薬で使用する場合があります。
- ●煎剤の調製
- 煎剤は、600mlの水から半量になるまで約40分ほど煎じて調製します。そして温かい間に茶こしやガーゼで生薬を除去して煎液を得るのが基本です。
煎剤は土瓶や煎剤調製器で調製されます。
- ●煎剤の服用法
- 調製した煎液を3等分にして服用します。残った液は冷蔵庫で保存し、飲むときに少し温めて(或いは熱いお湯を少し加えて)服用してください。
服用方法は指示される筈ですが、多くは食間(食後60~90分)に服用するようになっています。
4.桂枝茯苓丸エキス製剤
エキス製剤は、煎剤の水分を除去して得られるエキス粉末に賦形剤を加えて顆粒剤や錠剤やカプセル剤として製剤したものです。
エキス顆粒剤は、1回分毎にアルミ包装されており携帯に便利です。また錠剤やカプセル剤もあり、味の悪い煎剤より服用しやすいので普及しました。
煎剤を土瓶で調製する時には、加熱の程度(温度が上昇する時間)、加熱時間などを一定にするようにしてください。調製条件が変わると煎液の内容が変動します。
市販の煎剤調製器を用いると、生薬と水の比率や煎じる過程が一定になるので、煎液内容の変動が小さくなります。
病気の悩みを漢方で
谿 忠人 先生
大阪大学薬学部卒・同大学院薬学研究科修了
- 大阪大学薬学部・助手 (生薬材料学と生薬化学)
- 近畿大学東洋医学研究所・講師・助教授 (臨床漢方薬学)
- 住友金属工業(株)未来技術研究所・医薬研究部長 (創薬研究)
- 富山大学和漢医薬学総合研究所・教授 (資源科学と漢方医療薬学)
- 大阪大谷大学薬学部・教授 (漢方医療薬学)
- 平成24(2012)年3月に大阪大谷大学を定年退職。
- 大阪大谷大学名誉教授。
- 日本東洋医学会名誉会員、和漢医薬学会名誉会員。
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