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漢方薬名の意味

(39)竜胆瀉肝湯(リュウタンシャカントウ)

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1.竜胆瀉肝湯(リュウタンシャカントウ)の意味

 竜胆瀉肝湯竜胆(リュウタン)はリンドウの仲間の地下部から調製される生薬名です。竜胆の薬能は清熱燥湿(セイネツソウシツ)と瀉肝(シャカン)です。
 瀉肝肝気(カンキ)が停滞して熱化した肝火上炎(カンカジョウエン)をして(移動させて)熱を冷ます薬能です。この(カン)は(キ:生命活動を維持する基本的要素)を全身に巡らせる働きを担う漢方の五臓です。

 そこで竜胆瀉肝湯竜胆を含み、肝火上炎によるのぼせいらだち頭痛などを軽減する清熱瀉肝の薬能を意味しています。

2.竜胆瀉肝湯の適応

 日本の竜胆瀉肝湯製剤は主に排尿痛やこしけなどの泌尿生殖器系炎症症状湿熱 シツネツ)に用いられています。
 のぼせ、いらだち、頭痛などの熱証を伴う湿疹皮膚炎にも適します。

 湿熱湿邪熱邪が合わさり発熱、黄色舌苔、胸苦しさ、便臭のある泥状便、黄疸、濃い尿色、排尿痛、湿潤した炎症性皮疹を伴う病証です。

 竜胆瀉肝湯の適応となる排尿痛、頻尿、残尿感など炎症性の排尿異常を漢方では淋証(リンショウ、特に熱淋)と言います。は尿がぽたぽたとしたたり出しぶる状態です。

 なお、現代では淋証の中で性病の淋病や、発熱や膿を含む尿や排尿痛のある時は医師の診療を受けてください。抗菌薬の治療が優先されます(漢方製剤の抗菌力を過度に期待するのは適切ではありません)。

3.竜胆瀉肝湯の配合生薬(9味方と16味方)

 日本には9味16味竜胆瀉肝湯製剤があります(図1)。

 両製剤は竜胆をはじめとする赤字で記した清湿熱薬(セイシツネツヤク)が多く含まれています。
 これらの中で本方の基本生薬は、清熱瀉肝薬竜胆清湿熱薬山梔子(サンシシ)、車前子(シャゼンシ)と考えられます(図2)。

 一貫堂方竜胆瀉肝湯(16味)は温清飲(ウンセイイン:黄連解毒湯四物湯)を含むので、慢性でやや乾燥傾向の炎症性湿疹皮膚炎にも適応されています。

 なお、竜胆瀉肝湯瀉肝を強化するために理気疎肝薬(リキソカンヤク)の柴胡(サイコ)を含む四逆散(シギャクサン)が併用されます。

4.竜胆瀉肝湯に関連する清湿熱剤(セイシツネツザイ)

 竜胆瀉肝湯の適応になる膀胱尿道刺激症状淋証)は熱感や痛みの強い病態から、竜胆瀉肝湯⇒五淋散⇒猪苓湯の順に使い分けられます。

(ゴリンサン)は、竜胆瀉肝湯(9味)と同様の頻尿、排尿痛、残尿感などに適します(図3)。薬局漢方における膀胱炎(淋証)の第一選択薬です。
 本方は頭痛、のぼせ、口苦などの全身の熱証症状は竜胆瀉肝湯より軽微です。芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)を含むことから筋緊張を伴う排尿痛にも適します。

(チョレイトウ)は図3の3方剤の中では炎症や痛みが軽度な頻尿、排尿痛、残尿感などに用いられます。本方は、排尿痛を伴う時には芍薬甘草湯と、皮膚乾燥を伴う時には四物湯(シモツトウ)と併用されます。
 本方は口渴不眠下痢むくみにも適することが五淋散との相違点です。本方と五淋散排尿異常(3.尿路結石)でも比較しています。

5.熱証の軽微な排尿異常に用いられる方剤

(セイシンレンシイン)は、竜胆瀉肝湯より痛みや熱感が軽度な排尿異常(尿が出しぶる、残尿感、頻尿)に用いられます。
 本方は比較的体力の低下した人の全身倦怠感、平素から胃腸虚弱を伴う排尿異常に適します。いらだち不眠焦りなどを伴うこともあります。清心蓮子飲を参照してください。

 本方は竜胆瀉肝湯と同様に清熱通淋薬(セイネツツウリンヤク)の車前子(シャゼンシ)を含みます。一方、補気益腎安神薬(ホキエキジンアンシンヤク)の蓮肉(レンニク)および補気薬人参(ニンジン)や黄耆(オウギ)を含むので、水滞津液不足(シンエキフソク)や気虚の錯雑した病態に適します(図4)。


(ゴシャジンキガン)も竜胆瀉肝湯より痛みや熱感が軽度な排尿異常(残尿感、夜間頻尿、排尿困難)に用いられます。胃腸虚弱のない人に適します。排尿異常(1)を参照してください。
 本方は倦怠感足腰の衰え腰下肢の冷え痛み夜間頻尿など冷えと全身の機能低下など腎虚(ジンキョ)の症状を伴う排尿異常に使用します。この点が竜胆瀉肝湯五淋散と異なります。腎虚に関しては牛車腎気丸を参照してください。

ちょっと一言:(トピックス)

排尿異常と全身症状

 排尿異常(排尿痛、残尿感、頻尿)の治療では、発熱や痛みが激しい時には抗菌薬など現代科学医療が必要です。
 漢方製剤は炎症の軽微な病態で、全身症状を考慮して使い分けます。

のぼせ目の充血口渴竜胆瀉肝湯五淋散
 猪苓湯(下痢、下肢のむくみ)
足腰の衰え冷えむくみ牛車腎気丸
八味地黄丸
(胃腸虚弱に不適)
倦怠感いらだち焦り清心蓮子飲(胃腸虚弱にも適応)

(2021年12月22日 公開)


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