きぐすり.com は、漢方薬、女性の健康、サプリメント、ハーブの情報を専門家がやさしく解説しています。
病気の悩みを漢方で
総論
1.セルフメディケーション(セルメ)
日本の現代医療には、セルフメディケーション(セルメ)と保険診療という二つの枠組みがあります(図1)。それぞれの治療で漢方薬が使われています。
セルフメディケーションは「自己管理治療」と訳され、「セルメ」と略記されます。 セルメは、生活者が自らの健康に関心を持ち、自己の健康管理のため一般用医薬品(OTC薬)や食品等を使用することです。
なお、セルフメディケーションの「セルフ」は、生活者が“自分勝手”に薬を使うという意味ではありません。市販の薬の使用に際しては、薬局・薬店で薬剤師や登録販売者から薬の選択や適正使用の指導を受けることが前提になっています。
2.セルメの健康相談と漢方相談
薬局・薬店の店頭におけるセルメには、図2に示すように
・体調の違和感や軽微な症状について、疾患を予防するための「健康相談」と、
・普通感冒、花粉症、にきび、月経不順などの症状を治療するための「漢方相談」
が含まれます。
一般用漢方製剤は、このような病院に行くほどではない身体の不調や軽度の疾患に対して、自然治癒力を補助したり、症状を軽減するために利用されています。
図2は、セルメの対象となる症状は、健康相談と漢方医療にまたがり、さらに保険診療が必要な疾患につながる(進展する)ことを示しています。保険診療と薬局での漢方相談を組み合わせる場合は、担当のお医者さんや薬局の薬剤師に相談してください。
医院や病院での診療が必要な疾患を早期に見出して、受診をお勧めすることも薬剤師の仕事です。「かかりつけ薬剤師」に気楽にご相談ください。
3.セルメでの上手な相談のしかた
3.1)症状を詳しく
漢方は「患者さんの病気物語」を聴くことからはじまる対話の医療です。
病名ではなく、症状を話してください。
相談では、主訴(もっともつらい症状)に関して、
どこが、どのように、いつから、
どのような状況で起こるか(軽くなるか)
を話して下さい。
さらに、主訴それに伴う随伴症状や日頃の状況で気になることがあれば具体的に話してください。
3.2)現在使用中の薬があれば、見せてください。
漢方薬と西洋薬との組み合わせ(飲み合わせ)を判断します。
3.3)薬に対するアレルギーや副作用の経験があれば話してください。
3.4)妊娠中、授乳中であれば話してください。
妊娠中に服用しないことが望ましい漢方薬もあります。
4.セルメにおける患者さんの役割
薬局・薬店の店頭での健康相談や漢方相談の流れを図3に示しました。
患者さんの役割が(1)、(3)、(5)です。とくに患者さんにとってもっとも大切な役割は(3)に示したように、薬を適切な時期に適切な量を服用することです。また安静や食養生も大切なことを理解してください。
相談を受けた薬剤師は、(2)にあるように重篤度・緊急度を判断し、場合によっては医師の診療を勧めることがあります。
患者さんにお願いしたいことは、(3)のように適正に薬を使用し(服用し)、 (4)のように使用後の結果(症状の変化や違和感など)を話していただくことです。
薬はアルコールを含む飲み物で服用しないでください。副作用が現れやすくなることがあります。
漢方製剤は水で服用するのが基本です。とくにのぼせ気味や、むかつきのある場合は水で飲んでください。
なお、冷え症傾向の人は「ぬるま湯」に混ぜて服用することをお勧めします。
病気の悩みを漢方で
谿 忠人 先生
大阪大学薬学部卒・同大学院薬学研究科修了
- 大阪大学薬学部・助手 (生薬材料学と生薬化学)
- 近畿大学東洋医学研究所・講師・助教授 (臨床漢方薬学)
- 住友金属工業(株)未来技術研究所・医薬研究部長 (創薬研究)
- 富山大学和漢医薬学総合研究所・教授 (資源科学と漢方医療薬学)
- 大阪大谷大学薬学部・教授 (漢方医療薬学)
- 平成24(2012)年3月に大阪大谷大学を定年退職。
- 大阪大谷大学名誉教授。
- 日本東洋医学会名誉会員、和漢医薬学会名誉会員。
漢方医療とは
- (1)現代医療における漢方製剤
- (2)漢方薬局における診察
- (3)漢方薬局における診断(1)虚実と寒熱
- (4)漢方薬局における診断(2)気血水
- (5)漢方薬局における診断(3)病期
- (6)漢方薬局における診断(4)五臓
- (7)漢方処方の剤形
- (8)漢方医療と民間療法
- (9)セルメと健康相談
症状と漢方薬
- (あ行)
- RSウイルス
- 足腰の衰え(虚弱)
- 足のむくみ
- アトピー性皮膚炎
- アルコール性肝炎
- アルツハイマー型認知症
- アレルギー性鼻炎
- 胃食道逆流症
- 胃腸かぜ
- 胃腸虚弱
- 胃腸虚弱(高齢者)
- 胃腸虚弱(フレイル)
- 胃痛
- 胃もたれ
- 意欲の低下
- 意欲低下(虚弱)
- イライラ
- イライラ(産後)
- インポテンツ
- ウイルス肝炎
- うつ感
- 運動器症候群
- 円形脱毛症
- おしっこの悩み(前立腺肥大)
- (か行)
- 顔色不良(虚弱)
- 過活動膀胱
- 過換気症候群(過呼吸)
- 霍乱
- かぜ(風邪)
- 肩・首筋のこり
- 過敏性腸症候群
- 下部尿路症状
- 花粉症
- がん
- かんしゃく
- 関節痛(冷え症)
- 関節リウマチ
- 感染性胃腸炎
- 乾燥肌
- 肝臓病
- 気うつ
- 気うつ(産後)
- 気管支炎
- 機能性ディスペプシア
- 虚労
- 起立性調節障碍
- 緊張型頭痛
- 筋肉減少症
- 軽度認知障碍
- 月経周期の乱れ
- 月経痛(冷え症)
- 月経痛(冷えのぼせ症)
- 月経不順(周期の長短)
- 月経不順(血の道症)
- 月経前症候群(PMS)
- げっぷ
- 下痢
- 下痢(ゲンノショウコ)
- 高血圧
- 高血圧傾向(虚弱)
- 高血糖
- 好酸球性副鼻腔炎
- 口内炎
- 後鼻漏
- 高齢者
- 五十肩
- 呼吸困難(COPD)
- こじれた咳(感冒)
- 骨粗鬆症
- 子どもがほしい
- こむら返り
- コロナ後遺症
- (さ行)
- サルコペニア
- 産後の回復不全
- 残尿感(前立腺肥大)
- CFS(慢性疲労症候群)
- COPD(慢性閉塞性肺疾患)
- 湿疹
- 脂肪肝
- しもやけ
- しゃっくり
- 主婦湿疹
- 暑気あたり
- 女性不妊
- 自律神経失調症
- 脂漏性湿疹
- 尋常性乾癬
- 尋常性ざ瘡
- 頭重感
- 頭痛
- 頭痛(しめつける痛み)
- 頭痛(低気圧)
- 頭痛(婦人更年期障碍)
- ストレス胃
- 生理痛(冷え症)
- 生理痛(冷えのぼせ症)
- 生理不順(血の道症)
- 精力低下(男性)
- せき(咳)
- 咳(こじれた感冒)
- 脊柱管狭窄症
- 喘息
- 喘息(発作)
- 喘息(寛解)
- 前立腺肥大
- GERD
- (た行)
- たん(痰)
- 男性更年期障碍
- 男性不妊
- 蓄膿症
- 血の道症
- チック
- 痛風
- 手足口病
- 手足のしびれ(糖尿病)
- 低気圧頭痛
- 天気痛
- 動悸
- 凍瘡
- 糖尿病
- (な行)
- 内臓脂肪症候群(糖尿病)
- ながびく咳(感冒)
- 夏かぜ
- NASH
- 夏バテ
- 夏やせ
- 2型糖尿病
- にきび
- 尿意切迫
- 尿失禁
- 尿路結石
- 尿路不定愁訴
- 妊娠力をつけたい
- 認知症
- 脳血管性認知症
- 熱中症
- 脳梗塞と脳出血
- のぼせ感
- ノロウイルス下痢
- (は行)
- 肺気腫(COPD)
- 排尿異常
- 鼻アレルギー
- 鼻かぜ
- 鼻づまり
- 鼻水
- 非アルコール性肝炎
- 冷え症
- 冷えのぼせ症
- 鼻炎
- 皮膚炎
- 皮膚瘙痒症
- 肥満
- 肥満(糖尿病)
- 疲労感
- 頻尿
- PMS(月経前症候群)
- 不安定膀胱
- プール熱
- 腹痛
- 副鼻腔炎
- 婦人更年期障碍
- 不眠
- 不眠(産後)
- フレイル(虚弱)
- ヘルパンギーナ
- 変形性膝関節症
- 片頭痛
- 便通異常
- 便秘
- 膀胱結石
- (ま行)
- マタニティー・ブルー
- 慢性胃炎
- 慢性気管支炎(COPD)
- 慢性の咳(COPD)
- 慢性疲労症候群(CFS)
- 慢性閉塞性肺疾患
- むくみ(足のむくみ)
- 無月経
- 胸やけ
- メタボ肥満
- メタボリック・シンドローム(糖尿病)
- めまい
- めまい(婦人更年期障碍)
- (や行)
- 夜間頻尿
- やせと栄養失調
- 腰痛
- 抑うつ感
- 抑うつ感(虚弱)
- 夜泣き
- (ら行)
- 冷房下痢
- 老年症候群
- ロコモ
漢方薬名を選ぶ!
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)
- 柴胡桂枝乾姜湯(サイコケイシカンキョウトウ)
- 柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ)
- 柴胡清肝湯(サイコセイカントウ)
- 三黄瀉心湯(サンオウシャシントウ)
- 滋陰降火湯(ジインコウカトウ)
- 四逆散(シギャクサン)
- 十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)
- 潤腸湯(ジュンチョウトウ)
- 小柴胡湯(ショウサイコトウ)
- 小青竜湯(ショウセイリュウトウ)
- 消風散(ショウフウサン)
- 辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)
- 清上防風湯(セイジョウボウフウトウ)
- 清暑益気湯(セイショエッキトウ)
- 清心蓮子飲(セイシンレンシイン)
- 清肺湯(セイハイトウ)
- 疎経活血湯(ソケイカッケツトウ)