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病気の悩みを漢方で

1.フレイル(顔色不良)の改善には食事の見直し
顔色不良や乾燥した皮膚は貧血傾向や栄養不足による症候です。このようなフレイルには食養生が大切です(ちょっと一言、参照)。
目標は、栄養不足の指標となる血清アルブミン値(4.0g/dL未満)とやせの指標となる体格指数(BMI 20未満)を改善することです。
2.フレイル(顔色不良)に用いられる補気(ホキ)補血(ホケツ)剤
顔色不良や皮膚乾燥を改善するために用いられる主な生薬は、
・補気薬(ホキヤク):消化吸収機能を改善する人参(ニンジン)や黄耆(オウギ)、
・補血薬(ホケツヤク):皮膚の潤いを改善する熟地黄(ジュクジオウ)や当帰(トウキ)、
竜眼肉(リュウガンニク)です。
今回はこれらを含む補気補血剤(ホキホケツザイ)を紹介します(図1)。

フレイルに用いられる補気剤の補中益気湯(ホチュウエッキトウ)は前回のフレイル(虚弱)の漢方(2.胃腸虚弱)を参照してください。
なお、虚弱や栄養不足に関しては、円形脱毛症の漢方(2.虚弱)や男性更年期障碍の漢方(3.倦怠感)も参照してください。
3.十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)・・・フレイル(顔色不良)の基本方剤
十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)は補中益気湯(ホチュウエッキトウ)と並んでフレイルに用いられる基本方剤です。
両方剤が疲労倦怠感に用いられることは共通しますが、十全大補湯の適応は「顔色不良と皮膚乾燥」が食欲不振より顕著であり、補中益気湯は顔色不良より「だるさ、食欲不振」が顕著です。
十全大補湯の基本的な配合生薬は、図2の
・最下段に配置した人参(ニンジン)や黄耆(オウギ)などの補気薬(ホキヤク)と
・中央段に配置した熟地黄(ジュクジオウ)などの補血薬(ホケツヤク)です。
これらが疲労倦怠感と顔色不良、皮膚乾燥を改善する生薬です。

十全大補湯に関しては、漢方薬名の意味(13. 十全大補湯 )や漢方薬名の意味(19. 清暑益気湯)も参照してください。
4.十全大補湯の関連方剤
4.1)人参養栄湯(ニンジンヨウエイトウ)は、倦怠感と胃腸虚弱傾向、顔色不良や貧血傾向を伴うフレイルに用いられます。とくに咳嗽(空咳)、息切れ、眠りが浅い、意欲低下を伴う場合に適します。
本方の配合生薬を図3に示しました。黄耆や人参を含む最下段の生薬と熟地黄を含む中央段の生薬を見ると、本方は図2の十全大補湯の関連方剤であることがよく分かります。
最上段の遠志(オンジ)と五味子(ゴミシ)が、長引く咳嗽や気うつ感や不眠の改善に寄与しています。

十全大補湯と人参養栄湯に関しては、疲労感の漢方(3.栄養不足と疲労感)も参照してください。
4.2)帰脾湯(キヒトウ)は、心身が疲れ血色の悪く貧血傾向で、不安や不眠に悩むフレイルに用いられます。とくに入眠障害、中途覚醒、夢が多い、寝起きや午前中の抑うつ感が強い時に適します。
本方の配合生薬を図4に示しました。図2や図3と比べると中央段の熟地黄の代わりに竜眼肉(リュウガンニク)が含まれていることがわかります。そのため本方は熟地黄で胃もたれを感じる人に適しています。
本方に含まれる竜眼肉や遠志(オンジ)や酸棗仁(サンソウニン)が、不安や不眠の改善に寄与します。

帰脾湯に関しては、漢方薬名の意味(4.帰脾湯)や疲労感の漢方(3.栄養不足と疲労感)も参照してください。

やせと顔色不良や乾燥した皮膚、栄養不足を防ぐためには、主食(ご飯)以外に、以下の10群の食材をバランスよく摂る工夫をしてください。
1.肉類、2.魚介類、3.卵、4.牛乳・乳製品、
5.大豆・大豆製品、
6.野菜・緑黄色野菜、7.海藻類、
8.芋類、9.果物類、10.油脂類
フレイルの人は転倒を防止するために筋肉量を維持することも必要です。そのためには1〜5項目のたんぱく質を含む食材の摂取を心がけてください。
体重60kgの人は毎日60g〜72g以上のたんぱく質の摂取が目標です。
(2018年12月25日公開)
病気の悩みを漢方で
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