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症状と漢方薬

1.フレイル管理の3項目

 やせと栄養不足傾向の高齢者のフレイルの予防を薬物を使用せずに管理する基本的な3項目を図1にまとめました。

 ・栄養:とくに筋肉の原料となる
  たんぱく質を積極的に摂取する。
  (目標は体重1kgあたり1.0〜1.2g)
 ・運動:仲間と語りあいながら楽しく
  運動を続ける。
  (筋肉の維持、転倒防止)
 ・知的活動と社会参加:考え感動する
   趣味を楽しみ、引きこもらず人や
   社会と関わる。

 今回は胃腸虚弱を調えてフレイルを予防し進行を遅らせる漢方方剤を紹介します。

2.補中益気湯(ホチュウエッキトウ)・・・倦怠感、手足のだるさ、意欲低下

 補中益気湯(ホチュウエッキトウ)は食養生を支援する基本方剤です。本方は倦怠感、疲労回復の遅れ、だるさ、手足の筋力低下、夏ばてになりやすい、かぜを引きやすくこじれやすい状態を伴うフレイルに適します。

 本方の主な配合生薬は、図2の最下段に配置した人参(ニンジン)や黄耆(オウギ)などの補気薬(ホキヤク)です。


 補中益気湯に関しては男性更年期障害の漢方(3.倦怠感)かぜ(風邪)の漢方(6.胃腸虚弱者のかぜ)も参照してください。

3.六君子湯(リックンシトウ)・・・食欲不振、胃もたれ、吐き気、倦怠感

 六君子湯(リックンシトウ)は、食べるのが遅く、消化吸収機能の低下した人の胃腸虚弱、食欲不振、胃もたれ、吐き気、倦怠感、冷え症を伴うフレイルに適します。
 六君子湯補中益気湯図3の黄色で囲んだ10生薬)と同じ人参(ニンジン)を含む補気剤(ホキザイ)です。
 両方剤の適応は類似していますが、六君子湯の適応は「食欲不振>倦怠感」で、補中益気湯は「倦怠感>食欲不振」です。

 最近の研究によると、六君子湯には食欲を増進させ、胃から十二指腸への排出を促進して胃もたれを軽減する作用が明らかになっています。
 本方に関しては、機能性ディスペプシアの漢方も参照してください。

4.六君子湯(リックンシトウ)の関連方剤

 食が細く、胃もたれ、倦怠感が長引くフレイルには六君子湯の関連方剤も有用です。
 六君子湯の適応症状に加えて
 ・気うつ感、膨満感が伴えば、茯苓飲合半夏厚朴湯(ブクリョウインゴウハンゲコウボクトウ)
 ・めまい、頭重感が伴えば、半夏白朮天麻湯(ハンゲビャクジュツテンマトウ)
も適します(図4)。

 甘草(カンゾウ)を含む方剤は長く服用すると血圧上昇を誘発することがありますが、六君子湯の関連2方剤は甘草を含みませんので連用に適します。

ちょっと一言:フレイル(胃腸虚弱)を改善する人参剤

 胃腸虚弱をフレイルを管理する漢方医療の役割には、食欲を増し消化吸収機能を高めて、やせと栄養不足を改善するための食養生を支援することにあります。
 ここでは、食事療法を補完する補中益気湯(ホチュウエッキトウ)や六君子湯(リックンシトウ)などの人参剤を紹介しました。

 フレイルは臓器別の疾患ではなく、全身の機能低下病態(虚証 キョショウ)なので、生命維持活動を調整する漢方医療の良い適応になります。

(2018年12月17日公開)

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