漢方を知る

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病気の悩みを漢方で

症状と漢方薬

やせと栄養失調の漢方

(1)基礎知識
(2)補益剤 (3)がん

1.やせ・栄養不足・栄養失調と現代の危険因子

 やせ・栄養不足・栄養失調は、生命維持活動に必要な栄養素が不足し体力が低下した病態です。
 現代の日本では食材が不足した飢餓状態になることはありません。しかしながら現代には二つの危険因子(生活「」習慣疾患)があります(図1)。

 やせ・栄養不足・栄養失調の危険因子となる疾患は、現代科学の方法で治療することが必要です。
 もう一つの危険因子の生活「」習慣は、ご本人の意識を改革して見直すことが第一です。この領域で漢方医療は役に立ちそうです。

2.肥満していない人の生活「」習慣

2.1)BMI(体格指数)を意識しよう: 現代の日本では、BMI(体格指数)が20未満のやせ傾向の人の過度のダイエットによるやせや栄養不足が起きています(図2)。

 肥満を過度に恐れ「やせ願望」の強い若い女性は過度のダイエットに注意してください。
 20歳代女性の21.7%がBMIが18.5未満の低体重だという報告があります(厚生労働省 2017年)。
 ダイエットをする前に、肥満の目安となる自らのBMIを計算してみてください。

BMIは 体重(kg)÷(身長(m)÷ 身長(m)で計算します。
  160cm、47kgの人のBMIは、47÷1.6÷1.6=18.4となり
  「やせ」になります。

2.2)防風通聖散(ボウフウツウショウサン)の服用は適切か?

 防風通聖散は、漢方の「やせ薬」という思い込みで安易に服用されているのではないかと危惧しています。
 防風通聖散は、図3のような、体力が充実して、腹部に皮下脂肪が多く、肥満した人の、臍を中心にした太鼓腹や膨満感を軽減する方剤です。
 便秘の漢方(2.弛緩性便秘)を参照してください。

 漢方医療は、1)どのような人の、2)どのような症状かを指標にして方剤の適否を判断します。
 1)どのような人を判断する目安の一つがBMIです。

 BMIが20未満のやせ傾向の人(図3のイメージに適合しない人)に防風通聖散が適するかどうか、疑問です。
 どのような理由で防風通聖散を服用したいのか、かかりつけの医師や薬剤師さんに相談してください。
 なお、本方には「薬剤性肝障碍」の副作用があります。また最近「腸間膜静脈硬化症」という新たな副作用の発現事例が報告されています。安易に連用するのは好ましくありません。

3.高齢者の食材数の少ないあっさりした食事

 高齢者のやせや栄養不足で問題になるのは、食材数の少ないあっさりした食事ですましてしまうことです。
 高齢になると、噛む力や消化吸収機能も低下しますので、食べる量と食材の数が少なくなるとやせて栄養不足になります。

 食材の数を増やす(図4)

例えば、冷やし素麺には錦糸卵、きゅうり、トマト、大葉などをトッピングして食材を増やす工夫をしてください。

 高齢の人には主食と野菜以外でとくに増やしてほしいのは筋肉の元になるたんぱく質です。
 昔ながらの和食にも、魚、卵、麩に加えて豆腐や油揚げ、納豆、味噌などの大豆製品が使われていました。
 できればカルシウム補給のためにヨ-グルトや牛乳などの乳製品にも挑戦してみてください。

フレイル(虚弱)の漢方(3.顔色不良)「ちょっと一言」を参照してください。

ちょっと一言:(トピックス)やせ・栄養失調に対処する漢方医療

やせ・栄養失調に対処する漢方医療

 やせ・栄養不足・栄養失調に対処するためには主食と肉や魚や乳製品、大豆製品や野菜などをバランス良く摂り、適度に運動して筋肉と骨を維持することが主体です。

 この食事療法を漢方方剤は補佐します。
 なお、漢方方剤は「栄養素を補給するサプリメント」ではありません。食欲不振を軽減し、消化吸収機能を調えて摂取した栄養素の消化吸収利用を促進する薬です。

(2019年10月1日 公開)


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