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病気の悩みを漢方で

総論
1.漢方医療の病期(ビョウキ)
病期(stage)は発症後の経過です。症状の経時変化から病態の推移を判断して治療するのが漢方医療の基本の一つです。これは現代の時間治療学に相当します。
漢方の古典『傷寒論(ショウカンロン)』では感染症のように症状が経時的に変化する疾患の治療に際して症状の経過を陽病期(ヨウビョウキ)と陰病期(インビョウキ)に二分しています。さらにそれぞれの病期を以下の表のように三期に分けていますので、六病期(六病位)や三陰三陽(サンインサンヨウ)と言われてれています。
各病期に特徴的な症状があり、それに応じた治療薬を選ぶ仕組みとなっています。

2.病期診断の応用例:感冒様症候群

漢方医学の六病期診断は、現代の感冒様症候群(風邪、上気道炎)、鼻炎、皮膚病などに応用されています。
感冒は、主に太陽病期(タイヨウビョウキ)から発症すると考えられています。例えばイラストのような感冒初期の発熱と寒け(悪寒:オカン)と頭痛は、太陽病期と診断するための特徴的な症状です。
なお、まれに少陰病から発症する冷えの顕著な感冒もあります。

太陽病期の代表的な処方の麻黄湯(マオウトウ)の「効能・効果」は、 の「感冒」です。
風邪のひきはじめという使用条件が太陽病期に用いることを示し、ふしぶしが痛むことが麻黄湯を用いる特異症状です。
3.感冒初期に用いられる主な漢方薬
感冒様症候群の初期(太陽病期)に用いられるは主な生薬は、麻黄(マオウ)と桂皮(ケイヒ)です。
太陽病ではこの両生薬は組み合わせて用いられます。ただし自然発汗の少ない人には麻黄湯や葛根湯(カッコントウ)のような麻黄を含む処方が用いられます。
一方、自然発汗の多い人には麻黄を含まず桂皮のみを含む桂枝湯(ケイシトウ)を用いられます。
感冒の漢方相談を受けた時に、発症後の経過や発汗の程度をお尋ねするのは、このような漢方医療の考え方があるためです。

4.感冒亜急性期:少陽病期(ショウヨウビョウキ)
抗病力の強い人の感冒は太陽病で治癒します。ところが、こじれると胃腸症状を伴って少陽病(ショウヨウビョウ)や陽明病(ヨウメイビョウ)に移行したと考えられます。

5.感冒亜急性期に用いられる主な漢方薬
感冒様症候群の亜急性期(少陽病期)に用いられる主な生薬は、柴胡(サイコ)と黄芩(オウゴン)です。この2生薬を組み合わせた処方を柴胡剤と言います。なお慢性疾患の多くは少陽病期と診断して小柴胡湯、大柴胡湯(ダイサイコトウ)などの柴胡剤の使用を考えます。

6.相談するときには自覚症状の変化を話してください
病期を診断する意味は、その時期に適切な治療薬を決めるためです。漢方相談では「いつから」発症したかという情報が重要です。
とくに感冒様症候群の発症後のおおよその日数、症状の今までの変化や日中の変化など、時間の経過に応じた体調や症状の変化を詳しく話してください。

時間治療学は、生体リズムを治療や投薬時期に活用するための学術領域です。
例えば、高血圧の治療薬ACE:angiotensin converting enzyme阻害剤は、夕方に投与する方が血圧調整や副作用(乾咳)軽減に有用であることが分かっています。
漢方古典『傷寒論』の病期に応じた治療(stage)は現代の時間治療学に相当します。漢方は変化する病態を時間軸を考慮して診る医療です。
病気の悩みを漢方で
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