病気の悩みを漢方で

１．立効散（ﾘｯｺｳｻﾝ）の意味

　立効散の名は立ちどころに効果が発現する速効性を意味しています。

２．立効散の適応：歯痛､口内炎など口腔内の炎症性疼痛

　立効散は歯痛､抜歯後の痛み､口内炎など口腔内の疼痛に用いられます。
　さらに頭痛や熱証傾向の三叉神経痛にも応用されます。
　含嗽（ｶﾞﾝｿｳ）服用：　口腔内の疼痛に用いる時には､水に懸濁させたエキス剤を患部にしばらく留めてから服用します。薬液を患部に接触させるためです。
　痛みの強い時には冷たい水で懸濁させて含嗽するとよいでしょう。

　本方はヘルパンギーナ（喉頭炎）のような夏かぜの口腔内炎症にも用いられています。夏かぜ（２）や口内炎（１.患部の局所治療）を参照してください。

３．立効散の配合生薬

　立効散の配合生薬を図１に示しました。

　図１の左３生薬は発病誘因の風邪（ﾌｳｼﾞｬ）を発散する祛風薬（ｷｮﾌｳﾔｸ）です。升麻（ｼｮｳﾏ）と竜胆（ﾘｭｳﾀﾝ）は炎症を軽減する清熱薬（ｾｲﾈﾂﾔｸ）です。

　本方の主な配合生薬を図２に示しました。

　製剤を口に含むと舌がしびれるのは細辛（ｻｲｼﾝ）の作用です。この局所麻痺作用が痛みの軽減に寄与しています。

４．立効散の関連方剤

4.1）川芎茶調散（ｾﾝｷｭｳﾁｬﾁｮｳｻﾝ）は頭痛に用いられます。
　本方は立効散と同様に祛風薬が主体の方剤です（図３）。香附子（ｺｳﾌﾞｼ）と川芎（ｾﾝｷｭｳ）は肝鬱気滞（ｶﾝｳﾂｷﾀｲ）による頭痛に適します。

4.2）消風散（ｼｮｳﾌｳｻﾝ）も防風（ﾎﾞｳﾌｳ）荊芥（ｹｲｶﾞｲ）蝉退（ｾﾞﾝﾀｲ）などの祛風薬が含まれています。
　本方は患部の熱感とかゆみがある湿潤皮疹に乾燥皮疹も併存する病態に用いられます。漢方薬名の意味：消風散と湿疹皮膚炎（４）を参照してください。