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病気の悩みを漢方で

症状と漢方薬

肥満の漢方

(1)基礎知識
(2)漢方方剤

1.適正体重と肥満の目安

 日本肥満学会では、適正体重や肥満の目安を定めています。
 肥満は、体格指数(BMI)が25以上です。最も病気になりにくいのは、BMIが22とされています。適正体重の範囲は、BMIが18.5~25未満です。ただし65歳以上の高齢者はBMIが21.5~24.9の「小太り」状態が望ましいとされています。

 BMIの計算方法とBMIを踏まえた関連用語を図1に例示しました。

2.メタボ肥満の成り立ちとその後

 肥満は、飽食と運動不足による余剰カロリーが脂肪として皮下や内臓周辺の脂肪組織に蓄積した状態です。

 脂肪をため込んだ脂肪細胞から分泌される生理活性物質によって内臓脂肪症候群メタボリック・シンドローム:メタボ)になります。

 メタボは、内臓脂肪が過剰で、空腹時の高血糖、血圧上昇、脂質の異常値を伴う状態です。ここでは内臓脂肪症候群に伴う肥満をメタボ肥満と略称します。メタボ肥満は生活習慣病の前段階です(図2)。

「やせているから糖尿病は大丈夫と過信するのは危険です」と糖尿病専門家は指導しています(山田悟)。日本人は、肥満になる前に2型糖尿病を発症するという調査報告に基づく警告です。

3.肥満の予防と非薬物治療

 繰り返しますが、メタボ肥満は、(摂取カロリー)>(消費カロリー)の結果です。
 肥満を予防するには、飽食を止めて摂取カロリーを減らし、活動性を高めて消費カロリーを増やす生活を継続することです(図3)。

 生活習慣の見直しは、ちょっと一言を参照してください。

4.肥満の薬物治療

 肥満の治療方針を図4に概説しました。

 肥満治療薬に新たな動きがあります。

 2023年11月に2型糖尿病治療薬(中枢における摂食抑制薬:セマグルチド)が医療用の肥満治療注射剤として承認されました。かかりつけ医に相談してください。

 また脂肪分解酵素を阻害し脂肪吸収を抑える「腹部が太めな方の内臓脂肪および腹囲の減少」を効能とする一般用市販薬として販売される見込みです。かかりつけの薬剤師に相談してください。

5.肥満に用いられる主な生薬

 漢方では、肥満を病邪(過剰な血糖や脂質)が体内に過剰に停滞した病理の実証(ジツショウ)と捉えます。
 過剰を少なくする瀉法(シャホウ)では、
 1)過食による食積(ショクシャク 胃腸内に停滞した消化不良の飲食物:宿食)を少なくする瀉下薬(シャゲヤク)や、
 2)病理の実証気滞 キタイ、瘀血 オケツ、痰濁 タンダク)を改善するために理気(リキ)活血(カッケツ)利水(リスイ)化痰(ケタン)を考えます(図4右) 。

 メタボ肥満には大黄(ダイオウ:図5)を含む方剤の適応になります。
 大黄は、便秘を解消して脂肪の吸収を少なくする瀉下薬です。作用機序は異なりますが図4に示した脂肪吸収抑制薬に相当します。

 大黄の瀉下作用は含有成分が腸内細菌で代謝されたレインアンスロンによる腸管刺激によります。
 レインアンスロンは結腸だけでなく子宮も刺激するので大黄配合剤は「妊婦には投与しないことが望ましい」とされています。

 大黄は、瀉下とともに清熱理気活血の薬能もあります。
 メタボ肥満に伴う腹部膨満感には、
枳実(キジツ:理気消積)や
厚朴(コウボク:下気除満)と組み合わされます。承気湯類(ジョウキトウルイ)に分類される方剤群です。

 肥満に用いられる漢方方剤は次回に紹介します。

ちょっと一言:(トピックス)

脂質異常を予防・軽減する生活習慣

運動の継続:とくに中性脂肪の高いときに歩行などの有酸素運動が有用。

食事(推奨される食材:野菜きのこ海藻大豆製品
悪玉コレステロールLDL)の高い場合
  牛肉・豚肉のヒレ(大腰筋)、もも、鶏肉のささみ、むねを選ぶ
   (レバーや脂部分を避ける、鶏肉は皮を剥ぐ)
中性脂肪の高い場合
  背の青い魚を選ぶ(ただし内臓の多い小魚を避ける)
  和菓子を選ぶ(クリームの多い洋菓子を避ける)

(2023年12月11日 改訂公開)


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