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病気の悩みを漢方で

肥満の漢方
1.肥満とその目安

肥満は皮下や内臓周辺の脂肪組織に脂肪が蓄積した状態です。
肥満の程度は、BMI(体格指数)で判断されます。BMIは、体重(kg単位)を身長(m単位)で2回割って算出します。
日本ではBMI25以上が肥満です。例えば、身長170cmの人は72.3kgでBMIが25になります(72.3÷1.7÷1.7=25.0)。
統計上もっとも疾病になりにくいのは、BMIが22程度です。これを目安にして標準体重は、(身長m)×(身長m)×22で計算します。身長170cmの人なら63.6kgです。
BMIが18.5~25未満が適正な体重(普通体重)と見なします。身長170cmの人なら53.5kg~72kgの範囲です。
なおメタボ検診の腹囲(男性85cm以上、女性90cm以上)は、内臓脂肪面積100cm2を推定するための目安です。
2.肥満の成り立ちと健康障害
肥満の成り立ちは、(摂取カロリー)>(消費カロリー)です(図2)
すなわち、(飲食で摂取したカロリー)が(生活や運動で消費したカロリー)より多くなり、余ったカロリーが脂肪として蓄えられることで肥満になります。

肥満が続けば、いわゆる生活習慣病(糖尿病、高血圧症、高脂質血症、動脈硬化症)になり心筋梗塞や脳梗塞を誘発し脳血管障害性認知症の危険を高めます。
肥満による生活習慣病はアルツハイマー型認知症(神経変性性認知症)の発症にも関与します。
さらに肥満は、脂肪肝から肝硬変→肝臓がんに進展します。大腸がんや膵臓がんなどの危険因子にもなります。
これらの疾患は要介護状態になるので、肥満の予防は重要です。
3.肥満の予防と非薬物治療
肥満の予防と治療の目的は、肥満が引き金になる生活習慣病を予防し、認知症・がんなどによる要介護状態になるのを遅らせることです。
肥満を予防するには、薬に頼る前に、自ら生活習慣を見直すことが基本です。

食事療法は、3大栄養素のバランスを考慮しながらカロリーを削減します。低糖質ダイエットは医師の指導を受ける方がよいでしょう。
運動療法は食事療法と組み合わせることが大切です。なお高血圧傾向の人や高齢者は運動療法を始める前に医師の指導をうけてください。
食事療法と運動療法を継続するために、自己管理が重要です。
4.肥満症の薬物治療
肥満症の治療のために体重減少を目指す医療用の薬には、1)食欲抑制薬や2)脂肪吸収抑制薬が用いられています(図4)。これらの使用は、重度の肥満に限定されています。

5.肥満に用いられる生薬
肥満に用いられる主な生薬は大黄(ダイオウ)です。これは図4の脂肪吸収抑制薬に相当します。便秘を解消することによって脂肪の吸収を少なくする狙いです。

大黄(ダイオウ)は、便の硬さ・乾燥の程度や、腹部膨満感のような自覚症状に応じて、図6に例示した各種の生薬と組み合わせて用いられます。

次回以降に、肥満に用いられる漢方方剤を紹介します。

肥満を予防するための食事と運動療法は継続することが大切です。「ゆっくり」やせるために、生活習慣の見直しを習慣化する自己管理が重要です。
飲食習慣・・・「ゆっくり」よくかんで食べる。
1)三つの「あ」を制限。あまいもの、アルコール、あぶらっこいもの(揚げ物)。
2)食べる順序:野菜・きのこ・海藻、酢の物から先に食べる。
生活習慣病・・・三つの「あ」を増やす。あさご飯、あるく(歩く)、あんみん(安眠)。
1)朝食前の体重を記録して減量できているかどうか判断しましょう。
(毎日の体重測定が続かないのなら、週3回でも曜日を決めて測定しましょう)
2)スマホの歩数計を活用して、少しで多く歩く楽しみを見いだしてください。
(2017年7月10日 公開)
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