病気の悩みを漢方で

１．温清飲（ｳﾝｾｲｲﾝ）の意味･･･温め､熱を清める方剤

　温清飲（ｳﾝｾｲｲﾝ）の温は冷えを温める薬能､清は熱を清める（冷やす､清熱する）薬能を示しています。

　なお飲は､お茶のように随時飲む煎じ薬や､冷たくして服用する煎じ薬です。

２．温清飲の適応･･･婦人科と皮膚科領域

　温清飲はのぼせ､熱感､皮膚乾燥を目標に使用されます。
　１）婦人科疾患：月経不順､月経困難を伴う更年期障碍の興奮､のぼせ､不眠などの精神神経症状。
　本方に関して漢方薬名の意味：女神散の中で解説しています。
　２）皮膚疾患：乾燥して色艶が悪く熱感とかゆみを伴う主婦湿疹や皮膚瘙痒症に用いられます。
主婦湿疹（手湿疹）の漢方を参照してください。

３．温清飲の配合生薬

　温清飲は８生薬で構成されています（図１）。

　図１上部の４生薬が､本方の清を担い､のぼせ､熱感､炎症性病変を清熱する黄連解毒湯（ｵｳﾚﾝｹﾞﾄﾞｸﾄｳ）の配合生薬です。
　図１下部の４生薬が､本方の温を担い皮膚乾燥を潤す四物湯（ｼﾓﾂﾄｳ）の配合生薬です。
　四物湯は､乾燥肌の漢方を参照してください。

４．温清飲の関連方剤（一貫堂方）

　温清飲の８生薬を含む方剤として一貫堂（ｲｯｶﾝﾄﾞｳ）という日本漢方の流派で創案された方剤群があります（図２）。

　4.1）荊芥連翹湯（ｹｲｶﾞｲﾚﾝｷﾞｮｳﾄｳ 17味）は､にきび､乾燥と湿潤皮疹の併存する湿疹･皮膚炎や副鼻腔炎のような化膿性反復性炎症に用いられます。
にきびや副鼻腔炎の漢方（２.慢性期の治療）を参照してください。

　4.2）柴胡清肝湯（ｻｲｺｾｲｶﾝﾄｳ 15味）は､荊芥連翹湯と同様の症状のある小児期に用いられていました。現在では､青年期のアトピー性皮膚炎の乾燥皮疹にも用いられています。
　漢方薬名の意味：柴胡清肝湯を参照してください。

　4.3）竜胆瀉肝湯（ﾘｭｳﾀﾝｼｬｶﾝﾄｳ：16味）には､上記２方剤に利水薬（ﾘｽｲﾔｸ：沢瀉 ﾀｸｼｬ､木通 ﾓｸﾂｳ､車前子 ｼｬｾﾞﾝｼ）が加味されています。
　本方は主にいらだちや頭痛､のぼせを伴う生殖泌尿器系の症状に用いられます。排尿痛､残尿感を伴う尿路炎症や女性の「おりもの（帯下 ｺｼｹ）」などです。
　なお､同名で配合生薬が９味のエキス製剤もあります。