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病気の悩みを漢方で

小青竜湯 (ショウセイリュウトウ)
1.小青竜湯 (ショウセイリュウトウ)の謂われ・・・青竜(麻黄マオウ)を主薬とする湯剤

小青竜湯(ショウセイリュウトウ)の青竜は、天の東方を守る中国古代思想における四神(霊獣)です。
漢方医学では四神に生薬を配当しています。青竜には青色(青緑)の麻黄(マオウ)が当てられています(図1)。
竜は水を制御するので麻黄の薬能(利水消腫リスイショウシュ)に通じます。
このようなことから、体外から侵入する湿邪(シツジャ)や風邪(フウジャ)、寒邪(カンジャ)から身体を守る麻黄を主薬とする湯剤(煎剤)に小青竜湯という名がつけられました。

なお、小青竜湯の他にも四神に由来する方剤があります。その中で、石膏(セッコウ)を主薬とする白虎湯(ビャッコトウ)と附子(ブシ)を主薬とする真武湯(シンブトウ:もとは玄武湯ゲンブトウ)は現代でも使用されていますが、朱雀湯(スザクトウ)はあまり使われていません。
2.小青竜湯 (ショウセイリュウトウ)の適応・・・水様性の喀痰や鼻水を伴う咳嗽や鼻炎

小青竜湯(ショウセイリュウトウ)は、
・うすい水様性の喀痰を伴う咳嗽や喘鳴、
・無色のしたたりおちる鼻水、くしゃみ
に用いられます。
図3のイラストのように「水分が多く粘りけの少ない無色」の喀痰や鼻水を伴う症状が小青竜湯を選ぶポイントです。

小青竜湯の適応症状に現代の病名を当てれば、かぜ(感冒様症候群)の初期の咳嗽、気管支炎、軽い気管支喘息発作や発作後の咳嗽、かぜ初期の急性鼻炎(鼻かぜ)、アレルギー性鼻炎(季節性の花粉症)などです。
小青竜湯は、
かぜ(風邪)の漢方(1.急性期)、
喘息の漢方(2.発作期の治療)
鼻水と鼻づまり
で解説していますので参照してください。
3.小青竜湯 (ショウセイリュウトウ)の配合生薬
小青竜湯 (ショウセイリュウトウ)は麻黄(マオウ)を含む8生薬で構成されています。
図4の、
・上段の麻黄(マオウ)と桂皮(ケイヒ)は、急性炎症性疾患(かぜや鼻炎)の初期に用いられる基本生薬です。
・中段の3生薬は、鼻水として体液(津液シンエキ)が漏れ出るのを防ぐ生薬です。
・下段の3生薬は、水様性の喀痰(痰飲タンイン)の除去に寄与する生薬です。
漢方医学では、五臓の肺(ハイ)が冷えると水様性の痰や鼻水が出ると考えています。
小青竜湯には図4に示すように温める効能を示す青字の生薬が多く配合され、冷えて機能の低下した肺の病態を温めて症状を回復させる効能のある方剤だとわかります。

4.小青竜湯(ショウセイリュウトウ) の関連方剤(1.麻黄配合剤)

4.1)麻黄湯 (マオウトウ)と麻杏甘石湯(マキョウカンセキトウ)
咳嗽や喘鳴に用いられる小青竜湯 の関連方剤には、麻黄湯 (マオウトウ)と麻杏甘石湯(マキョウカンセキトウ)があります。
麻黄湯は、かぜの初期で、悪寒と発熱・頭痛が顕著で腰痛や四肢の関節の痛みを伴う咳嗽(咳かぜ)に適します。
麻杏甘石湯は、かぜの亜急性期や気管支炎の咳き込み時の熱感や口の渇き、呼吸困難を伴う咳嗽に適します。
小青竜湯と麻黄湯に関しては、
かぜ(風邪)の漢方(1.急性期)
小青竜湯と麻杏甘石湯に関しては
喘息の漢方(2.発作期の治療)
を参照してください。

4.2)麻黄附子細辛湯 (マオウブシサイシントウ)
鼻水、くしゃみに用いられる小青竜湯 の関連方剤には、麻黄附子細辛湯(マオウブシサイシントウ)があります。
麻黄附子細辛湯は、小青竜湯の適応症状と同様に、無色のしたたりおちる鼻水、くしゃみ、鼻づまりに用いられます。
本方はこの共通症状に加えてのどの痛み、全身倦怠感、手足の冷えを伴う場合に適します。
本方は図6に示すように温める効能を示す青字の生薬のみで構成され、中でも全身の虚弱状態を調え冷えや痛みを軽減する附子(ブシ)を含む方剤です。
5.小青竜湯(ショウセイリュウトウ) の関連方剤(2.麻黄を含まない方剤)

苓甘姜味辛夏仁湯(リョウカンキョウミシンゲニントウ)は、小青竜湯で胃もたれや動悸を訴える人のうすい水様の痰を伴う咳嗽に用いられます。むくみを伴い冷え症傾向の人に適します。
本方は図7に示すように、小青竜湯と同様の冷えを温める生薬の多くが共通しています。
特記すべきこことは本方には麻黄(マオウ)が含まれていないことです。そのため、小青竜湯を服用して胃もたれや動悸を訴える麻黄の適さない人に本方が用いられます。

小青竜湯は、
1)水のような痰を伴う咳(かぜや気管支炎の咳、気管支喘息の軽度発作の喘鳴)
2)水のようにしたたりおちる鼻水を伴うくしゃみ、鼻づまり(かぜ初期の急性鼻炎、
アレルギー性鼻炎・花粉症)に用いる方剤です。
小青竜湯エキス製剤は、適応領域を広げるために、
・麻黄の作用を強化し、石膏と併用して清熱効果を高めるために麻杏甘石湯(マキョウカンセキトウ)などと、
・連用による胃腸症状を軽減するために二陳湯(ニチントウ)と、
組み合わせられることもあります。
(2016年12月28日 公開)
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