漢方を知る

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病気の悩みを漢方で

漢方薬名の意味
(1)安中散(アンチュウサン)
(2)温経湯(ウンケイトウ)
(3)温清飲(ウンセイイン)
(4)帰脾湯(キヒトウ)
(5)啓脾湯(ケイヒトウ)
(6)建中湯類(ケンチュウトウ ルイ)
(7)五積散(ゴシャクサン)
(8)牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)
(9)柴胡清肝湯(サイコセイカントウ)
(10)三黄瀉心湯(サンオウシャシントウ)
(11)滋陰降火湯(ジインコウカトウ)
(12)四逆散 (シギャクサン)
(13)十全大補湯 (ジュウゼンタイホトウ)
(14)潤腸湯 (ジュンチョウトウ)
(15)小青竜湯 (ショウセリチュウトウ)
(16)消風散 (ショウフウサン)
(17)辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)
(18)清上防風湯(セイジョウボウフウトウ)
(19)清暑益気湯(セイショエッキトウ)
(20)清心蓮子飲(セイシンレンシイン)
(21)清肺湯(セイハイトウ)
(22)疎経活血湯(ソケイカッケツトウ)
(23)大建中湯(ダイケンチュウトウ)
(24)大承気湯(ダイジョウキトウ)
(25)竹筎温胆湯(チクジョウンタントウ)
(26)調胃承気湯(チョウイジョウキトウ)
(27)通導散(ツウドウサン)
(28)桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)
(29)二陳湯(ニチントウ)
(30)女神散(ニョシンサン)

1.女神散(ニョシンサン)の意味
      ・・・女性の神(シン:意識や精神状態)を調える方剤

 女神散(ニョシンサン)は女神(メガミ)の方剤という意味ではありません。
 1)神は神(カミ:god)? 女性の産前産後の神経症状に神(カミ)のように
  良く効く散剤という意味。

 2)神は漢方医学の(シン) 漢方医学の(シン)は「こころ」を含めた
  意識や精神状態を担う生命活動の根源的な力です。この解釈では
  女神散は女性の意識や精神状態を調える方剤という意味になります。

 なお、女神散は、(エイ)を安んじる(調整する)安栄湯(アンエイトウ)という方剤の別名です。「ちょっと一言」を参照してください。

2.女神散の適応・・・のぼせ、めまい、頭痛を伴う精神神経症状

 女神散は、のぼせ、めまい、頭痛、いらだち、焦燥感、肩こりなどを軽減する理気剤(リキザイ)です。
 本方は、産前産後の神経症、月経不順を伴う更年期神経症に用いられています。

 婦人更年期障碍の漢方(4.冷えのぼせ)も参照してください。

3.女神散(ニョシンサン) の配合生薬

 女神散の配合生薬を図1に示しました。

 ・上段は、のぼせなどの気逆(キギャク)を改善する生薬、
 ・中段は、抑うつなどの気滞(キタイ)を改善する生薬、
 ・下段は、血虚(ケッキョ)と気虚(キキョ)を改善する生薬です。
 女神散は下段の生薬を含むことから、顔色の良くない胃腸虚弱傾向の人にも適応できる内容になっています。

 梹榔子(ビンロウシ:図2)はを巡らせ、消化を進め、むくみを軽減する生薬です。

4.女神散の関連方剤(1)・・・加味逍遙散(カミショウヨウサン)

 加味逍遙散(カミショウヨウサン)は、いらだち、冷えのぼせと抑うつ感に悩む婦人更年期障碍や月経前症候群(PMS)に広く用いられています。
 本方の適応症状(のぼせやいらだち)は女神散と類似しますが、本方は訴えが移り変わることが女神散と異なります(図3)。 

 加味逍遙散女神散の使い分けに関しては、婦人更年期障碍の漢方(9.めまい)も参照してください。

5.女神散の関連方剤(2)・・・温清飲(ウンセイイン)

 温清飲(ウンセイイン)は、皮膚が乾燥して色つやが悪い人ののぼせを伴う婦人更年期障碍に用いられます。温清飲に関しては、乾燥肌の漢方も参照してください。

 温清飲は、乾燥傾向を潤す四物湯(シモツトウ)と炎症を抑制する黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)から構成されています。
 その中の4生薬が女神散と共通です(図4)。 

 両方剤は「のぼせ」を適応とする点で類似していますが、女神散は、温清飲より「めまい、動悸、抑うつなど」多様な愁訴に適応できる内容になっています。

ちょっと一言:(トピックス)脳浮腫に五苓散(ゴレイサン)

女神散(ニョシンサン)の来歴

 女神散は、日本で創案された安栄湯(アンエイトウ)に由来します。  (エイ)は気血水(津液)論の(ケツ)に相当する漢方用語です。
安栄湯は出血や精神的ストレスなどによる(ケツ)の異常病態である血虚 (ケッキョ)やオ血 (オケツ)を安らかに調える方剤です。
 安栄湯は、戦場で金瘡(刀きず)を負った兵士の出血や興奮、恐怖感、不安感を軽減するために用いられました。
 その使用経験を踏まえて、女神散は、女性の出血を伴う産後や月経不順や婦人更年期のいらだちやのぼせなどの精神神経症状に用いられるようになりました。

(2019年9月11日公開)

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