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病気の悩みを漢方で

症状と漢方薬

1.高血圧の成り立ちと予防

図1.血圧の調節因子

 多くの高血圧は原因が特定できない本態性高血圧です。血圧は図 1 のような多様な要因で調節されています。

 高血圧の予防と治療では薬物を用いる前に、禁煙を含めた生活習慣の見直しが基本です。とくに図 1 の、のストレスによる神経系(交感神経系)の緊張を緩和するために散歩や適度の運動が効果的です。
は血管の動脈硬化ですから、脂や塩の少ない薄い味の食事をするように気をつけてください。

2.高血圧症の診断基準と降圧目標

 高血圧症は
 ・収縮期血圧が、140 mmHg以上、
 ・拡張期血圧が、90 mmHg以上
と定義されています(図2)。

 降圧目標は、2019年に
 ・75歳未満は 80/130 mmHg
 ・75歳以上は 90/140 mmHg
に改定されました(日本高血圧学会)。

 高齢者を除いて、厳密に降圧した方が脳卒中や心血管疾患の予防に有用だとの判断です。


3.高血圧に伴う症状(随伴症状)

高血圧に伴う症状

 高血圧に伴う症状には、頭痛、頭重感、のぼせ、耳なり、動悸、不眠、肩こり、むくみ、などです。便秘を伴う人も多いようです。

 これらは高血圧に特有の症状ではありません。例えば頭痛は感冒、副鼻腔炎(蓄膿症)、婦人更年期障碍、低血圧など多くの疾患に伴います。

 頭痛だけで高血圧だと診断はできません。そのため漢方医療では、患者さんの様子と複数の症状から総合的に判断して適切な処方を選びます。

4.高血圧治療において漢方薬にできること

 一般用漢方製剤は血圧を下げる作用は強くありませんが随伴症状を軽減する効果は認められています。主な処方を以下に整理しました。

高血圧随伴症状に用いられる主な漢方製剤と適応症状(五十音順)

 これらの処方を「どのような人に、どのような症状があり、漢方医学の病理病態は何か」を判断して適切な生薬や漢方処方を選ぶことが、漢方医療です。

 そのポイントは、図 1 の
神経系を調整する黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)や大柴胡湯(ダイサイコトウ)や柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)や釣藤散(チョウトウサン)、
血液粘度を調整する三黄瀉心湯(サンオウシャシントウ)や桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)や防風通聖散(ボウフウツウショウサン)にあります。

 さらに、釣藤散にはの血管拡張作用も期待できます。

 これらに関する生薬や処方を次回以降に解説します。


病気の悩みを漢方で

谿 忠人 先生

大阪大学薬学部卒・同大学院薬学研究科修了

  • 大阪大学薬学部・助手 (生薬材料学と生薬化学)
  • 近畿大学東洋医学研究所・講師・助教授 (臨床漢方薬学)
  • 住友金属工業(株)未来技術研究所・医薬研究部長 (創薬研究)
  • 富山大学和漢医薬学総合研究所・教授 (資源科学と漢方医療薬学)
  • 大阪大谷大学薬学部・教授 (漢方医療薬学)
  • 平成24(2012)年3月に大阪大谷大学を定年退職。
  • 大阪大谷大学名誉教授。
  • 日本東洋医学会名誉会員、和漢医薬学会名誉会員。
谿 忠人先生のプロフィール
谿 忠人先生

漢方医療とは

症状と漢方薬

(あ行)
RSウイルス
足腰の衰え(虚弱)
足のむくみ
アトピー性皮膚炎
アルコール性肝炎
アルツハイマー型認知症
アレルギー性鼻炎
胃食道逆流症
胃腸かぜ
胃腸虚弱
胃腸虚弱(高齢者)
胃腸虚弱(フレイル)
胃痛
胃もたれ
意欲の低下
意欲低下(虚弱)
イライラ
イライラ(産後)
インポテンツ
ウイルス肝炎
うつ感
運動器症候群
円形脱毛症
おしっこの悩み(前立腺肥大)
(か行)
顔色不良(虚弱)
過活動膀胱
過換気症候群(過呼吸)
霍乱
かぜ(風邪)
肩・首筋のこり
過敏性腸症候群
下部尿路症状
花粉症
がん
かんしゃく
関節痛(冷え症)
関節リウマチ
感染性胃腸炎
乾燥肌
肝臓病
気うつ
気うつ(産後)
気管支炎
機能性ディスペプシア
虚労
起立性調節障碍
緊張型頭痛
筋肉減少症
軽度認知障碍
月経周期の乱れ
月経痛(冷え症)
月経痛(冷えのぼせ症)
月経不順(周期の長短)
月経不順(血の道症)
月経前症候群(PMS)
げっぷ
下痢
下痢(ゲンノショウコ)
高血圧
高血圧傾向(虚弱)
高血糖
好酸球性副鼻腔炎
口内炎
後鼻漏
高齢者
五十肩
呼吸困難(COPD)
こじれた咳(感冒)
骨粗鬆症
子どもがほしい
こむら返り
コロナ後遺症
(さ行)
サルコペニア
産後の回復不全
残尿感(前立腺肥大)
CFS(慢性疲労症候群)
COPD(慢性閉塞性肺疾患)
湿疹
脂肪肝
しもやけ
しゃっくり
主婦湿疹
暑気あたり
女性不妊
自律神経失調症
脂漏性湿疹
尋常性乾癬
尋常性ざ瘡
頭重感
頭痛
頭痛(しめつける痛み)
頭痛(低気圧)
頭痛(婦人更年期障碍)
ストレス胃
生理痛(冷え症)
生理痛(冷えのぼせ症)
生理不順(血の道症)
精力低下(男性)
せき(咳)
咳(こじれた感冒)
脊柱管狭窄症
喘息
喘息(発作)
喘息(寛解)
前立腺肥大
GERD
(た行)
たん(痰)
男性更年期障碍
男性不妊
蓄膿症
血の道症
チック
痛風
手足口病
手足のしびれ(糖尿病)
低気圧頭痛
天気痛
動悸
凍瘡
糖尿病
(な行)
内臓脂肪症候群(糖尿病)
ながびく咳(感冒)
夏かぜ
NASH
夏バテ
夏やせ
2型糖尿病
にきび
尿意切迫
尿失禁
尿路結石
尿路不定愁訴
妊娠力をつけたい
認知症
脳血管性認知症
熱中症
脳梗塞と脳出血
のぼせ感
ノロウイルス下痢
(は行)
肺気腫(COPD)
排尿異常
鼻アレルギー
鼻かぜ
鼻づまり
鼻水
非アルコール性肝炎
冷え症
冷えのぼせ症
鼻炎
皮膚炎
皮膚瘙痒症
肥満
肥満(糖尿病)
疲労感
頻尿
PMS(月経前症候群)
不安定膀胱
プール熱
腹痛
副鼻腔炎
婦人更年期障碍
不眠
不眠(産後)
フレイル(虚弱)
ヘルパンギーナ
変形性膝関節症
片頭痛
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(ま行)
マタニティー・ブルー
慢性胃炎
慢性気管支炎(COPD)
慢性の咳(COPD)
慢性疲労症候群(CFS)
慢性閉塞性肺疾患
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無月経
胸やけ
メタボ肥満
メタボリック・シンドローム(糖尿病)
めまい
めまい(婦人更年期障碍)
(や行)
夜間頻尿
やせと栄養失調
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抑うつ感
抑うつ感(虚弱)
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(ら行)
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