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病気の悩みを漢方で

症状と漢方薬

1.自律神経失調症の頭痛

 頭痛は様々な症状を伴います。今回は、婦人更年期障碍、不定愁訴症候群や自律神経失調症などに伴う頭痛や頭重感に用いる漢方薬を紹介します。

2.情緒不安定(冷えのぼせ)に伴う頭痛

KSさん 午後の顔面紅潮 不安 イライラ 不眠(情緒不安定) 生理不順

 KSさんは、氣鬱の頭痛と興奮のぼせの頭痛の二つの顔があります。精神不安、イライラ、不眠、肩こり、疲労感などに悩んでいます。基礎疾患は婦人更年期障碍、自律神経失調症などです。

 漢方医学では、情緒不安定な病態を氣滞(キタイ)や氣逆(キギャク)と考えて柴胡(サイコ)を含む処方の適応を考えます。冷え症(冷えのぼせ症)、生理不順、肌荒れなどからお血(オケツ)という病理を考え、当帰(トウキ)、牡丹皮(ボタンピ)を含む処方を選びます。

 これらを含む処方が加味逍遙散(カミショウヨウサン)です。患者さんの多くの悩みに対応するために本方には10種類の生薬が配剤されています。イラストの左向きの気うつの顔には、当帰や芍薬(シャクヤク)が適し、右向きの赤ら顔には牡丹皮や山梔子(サンシシ)が適すると考えられています。

加味逍遥散の配剤生薬の写真

柴胡、黄連

 

氣逆には黄連(オウレン)も用います。加味逍遙散の適応病態と同じような状態で、冷えのぼせ症が顕著な頭痛には、黄連を含む女神散(ニョシンサン)も適します。

3.気うつ(動悸)に伴う頭痛

SRさん 精神不安 不眠 動悸 イライラ 肩こり

 SRさんは比較的体力があり、精神不安、動悸、不眠や頭重感や頭痛に悩む人のイメージです。気苦労症傾向で物音に敏感で驚きやすく、神経性円形脱毛症にも悩むタイプです。基礎疾患は高血圧症、神経性心悸亢進症(循環器心身症)、不眠症、婦人更年期障碍などです。

牡蛎

 柴胡と竜骨(リュウコツ)や牡蛎(ボレイ)を含む柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)の適応となるタイプです。本方には頭痛に頻用される桂皮(ケイヒ)を含みます。

 竜骨(リュウコツ)は大型の動物の化石化した骨、牡蛎(ボレイ)は食用のカキの貝殻です。このように鉱物から調製される生薬もあります。共に神経症に用いられる生薬です。

香附子


 氣鬱や氣逆には香附子(コウブシ)という生薬を含む香蘇散(コウソサン)も用います。胃腸虚弱で神経質の人の頭痛に適します。この香附子(ハマスゲの根茎)は、冷え症や痛みに用いる有毒の附子(ブシ:トリカブトの塊根) とは異なる生薬です。

4.動悸・めまいを伴う発作性の頭痛(片頭痛)

片頭痛

 比較的体力が低下した人の、めまい、ふらつき、動悸、のぼせ感を伴う頭痛には苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)が適します。 適応となる頭痛は発作性の動悸を伴う片頭痛(ヘンズツウ)です。基礎疾患はメニエール病、偏頭痛(片頭痛)、神経症です。

 頭痛、めまいなどの原因となる病態を漢方医療では痰飲(タンイン)や水毒(スイドク)といいます。この停滞した水分を除く(循環を良くする)生薬が茯苓(ブクリョウ)、白朮(ビャクジュツ)、沢瀉(タクシャ)などの利水薬(リスイヤク)です。

 発作性の動悸や頭痛は氣逆(キギャク)という病態です。桂皮(ケイヒ)と茯苓の組み合わせが有用だと 考えられています。苓桂朮甘湯にはこれらの生薬が含まれています。

苓桂朮甘湯の配剤生薬の写真

 痰飲や水毒による頭痛とむかつきとむくみは「二日酔い」でも起きます。この場合には五苓散(ゴレイサン) が適します。黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)と一緒に服用することもあります。

五苓散の配剤粉末生薬の写真

 五苓散は漢方薬の粉末を服用する処方ですが、現代では水煎エキスの製剤も用いらます。五苓散の配剤生薬は苓桂朮甘湯と類似しています。沢瀉(タクシャ)と猪苓(チョレイ)を含めて利水薬が主体の 処方です。沢瀉と朮の組み合わせが「めまい」に有効だと考えられています。

 このように配剤生薬の少しの違いで処方の適応が異なるところが漢方医療の特徴です。

サジオモダカ(福健省)沢瀉

5.頭痛に伴う症状をくわしく話してください。

 このような精神神経症状を伴う頭痛には漢方医療が適します。頭痛以外の胃腸の状態や小便の過多、便通などをくわしく話すことができるような「かかりつけの」薬剤師さんを見つけてください。それが漢方医学の病態を判断する情報になります。

~ちょっと一言: 竜骨(リュウコツ)~

竜骨  竜骨は、古代のマンモスやサイやワニなど大型動物の骨の化石です。化石の神秘性を高めるために想像上の竜という名前をつけたのでしょう。

 なお表面に甲骨文字の刻まれた竜骨もあり、中国の古代文明を解読する資料(科学史料)にもなりました。

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