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病気の悩みを漢方で

症状と漢方薬

過換気症候群の漢方

(1)初期治療
(2)緩解期治療


1.過換気症候群(過呼吸)緩解期の予防的治療

 漢方医療は症状(病態)の経時変化に応じて方剤を使い分けます。 前回は、「呼吸困難、息苦しさ」が起きている急性期(初期)の過換気症候群に対する対症療法的な方剤を紹介しました。

 今回は急性期が緩解した時期に心身を安定させ体調を調えて発作を予防する漢方方剤を解説します。
 緩解期にも自律神経失調症状(不定愁訴)が継続します。これが過換気症候(過呼吸)発作の引き金になるので呼吸器以外の症状も含めて予防的な治療が必要です(図1)。

2.興奮傾向・・・女神散(ニョシンサン)と抑肝散(ヨクカンサン)

2.1) 女神散(ニョシンサン)は、のぼせ、めまい、頭痛、いらだち、焦燥感、肩こりを軽減する方剤です。漢方薬名の意味(30.女神散)を参照してください。

 本方は、過換気症候群の急性時に用いられる桂皮(ケイヒ)と甘草(カンゾウ)と、のぼせや興奮を鎮める黄連(オウレン)を含み、急性期から緩解期にかけて使用できる内容になっています(図2)。

2.2) 抑肝散(ヨクカンサン)は、神経のたかぶり、怒り、いらだち、不眠など過換気症候群の発作の引き金になる症状を軽減します。

2.3) 加味逍遙散(カミショウヨウサン)は抑肝散の関連方剤です。冷えのぼせ、いらだちなどの興奮傾向と抑うつ傾向の両方に用いられます。

 加味逍遙散抑肝散の比較は男性更年期障碍の漢方(2.いらだち、気うつ)を参照してください。

3.抑うつ、不安・・・安神剤(アンシンザイ)

 安神剤は、抑うつ感、不安感、動悸、息切れ、不眠、物音に驚きやすい状態を軽減する方剤群です。安神は安心に通じる漢方用語です。

3.1) 柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)は、精神不安があって動悸、不眠などに用いられる方剤です。安神薬竜骨(リュウコツ)や牡蛎(ボレイ)を含む方剤です(図3)。

3.2) 柴胡桂枝乾姜湯(サイコケイシカンキョウトウ)は、柴胡加竜骨牡蛎湯と同様の精神不安や動悸に用いられますが、疲れやすく、手足の冷えが顕著な病態に適します。神経過敏傾向や口渴や頭部の発汗も目標になります。

 両方剤に関しては、かんしゃくの漢方(2.いらだちと抑うつ感)も参照してください。

3.3) 桂枝加竜骨牡蛎湯(ケイシカリュウコツボレイトウ)は、上記2方剤と比べて体力虚弱傾向の人の動悸やのぼせ、頭痛に用いられます。

 本方と柴胡加竜骨牡蛎湯に関しては、円形脱毛症の漢方(1.ストレス)も参照してください。
 本方と柴胡桂枝乾姜湯に関しては、不眠の漢方(3.高齢者の不眠)も参照してください。

3.4) 加味帰脾湯(カミキヒトウ)は、顔色が悪く心身の疲れた人で抑うつ感・不安といらだちが同居し、心悸亢進、眠りが浅い不眠に用いられます。
 本方は、図4の黄色で囲んだ人参(ニンジン)を含む補気薬(ホキヤク)と、安神薬酸棗仁(サンソウニン)や竜眼肉(リュウガンニク)を含む方剤です(図4)。

加味帰脾湯はフレイルの漢方(6.意欲低下)も参照してください。

ちょっと一言:(トピックス)

過換気症候群の緩解期の漢方相談

 気質: 過換気症候群(過呼吸)の発症には几帳面、心配性、神経質などの気質が関係しているといわれています。
 漢方方剤は気質を変えることは困難ですが、このような気質の人の自律神経の失調による多様な不定愁訴を軽減し発作を予防する緩解期の医療に役立ちます。

 普段の違和感: 過換気症候群の緩解期の漢方相談では、気うつ、いらだち、不眠、頭重感、疲労感、冷え症など普段の違和感を詳しく話してください。それが適切な方剤を選ぶ指標になります。

(2019年11月18日公開)

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