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症状と漢方薬

アトピー性皮膚炎の漢方

1.アトピー性皮膚炎の全身病態の調整

 アトピー性皮膚炎の漢方治療では皮疹の対症療法(標治 ヒョウチ)と虚弱状態精神神経症状などの全身病態を調整する本治 (ホンチ)を組み合わせます(図1)。
アトピーの1回目を参照してください。


 今回と次回にわたってアトピー性皮膚炎の全身病態気血水津液)の病理の虚証実証に分けてそれぞれを調整する方剤群を解説します。

 なお花粉症(2.寛解期の治療)でも同様の観点で寛解期における本治を解説しています。

2.アトピー性皮膚炎の全身病態(病理の虚証

 寛解期の病理の虚証を補う本治に用いられる主な方剤を図2に示しました。

3.気虚(キキョ:消化吸収機能の低下)と補気剤(ホキザイ)

3.1) 補中益気湯(ホチュウエッキトウ)は皮疹治療剤の消風散(ショウフウサン)や柴胡清肝湯(サイコセイカントウ)と併用される本治剤の第一選択薬です。
 本方は消化吸収機能を調え疲れやすく倦怠感、手足のだるさかぜを引きやすく長引く状態を軽減します。このような虚弱状態が気虚(キキョ)です(図3)。
 本方には「目に勢いがなく声に力がない」という口訣(クケツ:使用上のコツ)が伝えられています。
補中益気湯を参照してください。

 補中益気湯には皮疹の寛解を維持する臨床報告があります。

臨床報告:アトピー性皮膚炎患者(3-16歳 156例)
 補中益気湯を12週投与。かゆみ、搔破痕など中等度以上の改善度は60.9%。ステロイド軟膏の使用量を削減できた。

3.2) 黄耆建中湯(オウギケンチュウトウ)や小建中湯(ショウケンチュウトウ)は腹痛便通異常疲労倦怠感を伴う全身病態の調整に使用されます。甘くて飲みやすいので小児に適します。
 これらの建中湯類は筋緊張傾向の病態に適します。一方、補中益気湯は筋の緊張が低下した気陥(キカン)による四肢のだるさや内臓下垂に適します。
 建中湯類補中益気湯の比較は建中湯類を参照してください。

3.3) 六君子湯(リックンシトウ)は胃もたれ吐き気心窩部つかえ感痰飲 タンイン:図4)に適した補気・化痰剤(ケタンザイ)です。
胃もたれの漢方を参照してください。

 本方と補中益気湯は共に胃腸虚弱に適しますが、六君子湯は胃もたれや吐き気を軽減する化痰薬半夏(ハンゲ)と茯苓(ブクリョウ)を含むことが補中益気湯との相違点です。


4.血虚(ケッキョ:乾燥)と補血剤(ホケツザイ)

4.1) 十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)は疲労倦怠感、顔色不良、皮膚乾燥、冷え症を伴う全身病態の調整に適します。
 本方は熟地黄(ジュクジオウ)を含む四物湯(シモツトウ)と四君子湯(シクンシトウ)を組み合わせた補気補血剤です。十全大補湯を参照してください。

地黄の重複に注意: 十全大補湯消風散柴胡清肝湯などの皮疹治療剤と併用すると地黄が重複し「食欲不振、胃もたれ」などが発現する可能性が高くなります。
 その点で地黄を含まない補中益気湯の併用が適します。

4.2) 帰脾湯(キヒトウ)は十全大補湯と同様の虚弱乾燥病態に加えて不眠不安抑うつ傾向のあるときに適する方剤です。

帰脾湯地黄を含まない補気補血剤なので、地黄の重複を気にすることなく皮疹治療剤と併用することができます。

 帰脾湯の適する病態に胸苦しさいらだちなどの精神症状があるときには加味帰脾湯(カミキヒトウ)が用いられます。帰脾湯を参照してください。

4.3) 柴胡清肝湯一貫堂方 15味)は、四物湯の適応になる乾燥皮疹黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)の適応となる熱感化膿した湿潤部位もある病態に適した補血滋潤(ジジュン)清熱(セイネツ)剤です。柴胡清肝湯を参照してください。
 本方は黄連(オウレン)や柴胡(サイコ)を含み神経過敏や不眠を軽減する降気(コウキ)や理気(リキ)の薬能もあるので全身病態の調整にも適します。

4.4) 六味丸(ロクミガン)は熟地黄を含む補腎生津(セイシン)です。疲れやすい排尿異常という腎虚(ジンキョ)と皮膚乾燥足の裏のほてりを伴う全身病態を調整します。ただし胃腸障碍のない人に用います。
 皮膚瘙痒症(2.熱感とほてり)を参照してください。

 アトピー性皮膚炎の全身病態の調整(本治)に関する口訣: 

 皮膚は、内臓(とくに脾胃:胃腸)の、生活の、心の、環境の、季節の “鏡” である(広瀬滋之)

 この口訣には全身病態を調整する方剤を選ぶときに患者情報を蒐集する要点がまとめられています。

ちょっと一言:(トピックス)

全身病態の調整剤の用法用量

 アトピー性皮膚炎の漢方医療では皮疹治療剤と全身病態を調整する方剤を「個々の病態に応じて」併用されます。
 投与時期: 皮疹治療と全身調整を同時に進めるか、投与時期をずらすかは個々に異なります。
 投与量比: 皮疹治療剤と併用剤の投与量比も症例毎に様々です。 

 ただし併用によって特定生薬が重複する場合には、本文に記したように副作用発現に注意する必要があります。

(2021年4月12日 公開)


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